津波第1波 海底の地すべり起因か 東北大研究グループが分析 富山湾内で津波“複雑化”も
今回の地震で、富山市に到達した津波の第1波は、富山湾内の海底での地滑りによって発生した可能性が高いことが、津波を研究する専門家の分析で分かりました。
今回の地震による津波が、各地にどのように到達したかを東北大学の研究グループがシミュレーション動画を作成し、分析しました。
赤が波が高くなる押し波、青が低くなる引き波です。
東北大学 災害科学国際研究所 今村文彦教授(津波工学)
「特に富山の場合は第1波は、今回の地震では説明が難しい。5分後の第2波は地震によるものだが、最初の第1波は地震に関係した例えば海底地滑りなどの可能性が高いと思う」
こちらは、富山市の富山港で観測した今回の地震による津波の高さの状況です。
第1波が到達したのは、地震発生からわずか3分後、しかも波がおよそ50センチも引く引き波です。
今村教授
「特に富山市の近くで起きたものと考えられる。富山湾はかなり急しゅんな地形を持っていて、海底で急勾配があると揺れなどで海底地滑りが起きている」
第1波が引き波だった理由については。
今村教授
「今回、第1波が引き波で始まったことは、海底地滑りを示唆していて、海底が地滑りをするとかなりの(土砂)量が深いエリアに落ちていく、落ちるとともに海面が下がりますので、その下がった引き波が、富山を中心に伝播してきたものと考えられる」
またシミュレーションでは、津波が富山湾内で複雑な動きを見せ、長時間、続いていたことが分かります。
今村教授
「沿岸部で津波が繰り返し伝わっていきますので、たまたまいろんな方向の津波が一緒になると大きな波になる。従って最大波が遅れるという現象になるわけ」
今村教授は、今後も地震による津波に注意するよう呼びかけています。
今村教授
「今回の地震は余震が長く続きます。余震の中でもマグニチュード7クラスになると、津波の発生が懸念される、特に沿岸部で復旧作業であったり捜索する場合はぜひ、どこに逃げたらいいのか、情報をきちんと入手できるように準備してほしい」
今村教授は、今回の地滑り性の津波は、今後の対策を考える上で非常に重要なため、引き波の発生などの様子を撮影した人に映像の提供を呼びかけています。