富山県 人口100万人割れ見込み 「未来構想本部」初会合
富山県の人口の100万人割れが来月にも発表される見通しです。
県は22日、人口減少対策に向けて設けた会議の初会合を開き、新たな人口ビジョンを今年度中に示すとしました。
新田知事
「発想を大きく転換して大胆な、大胆な政策を打っていく必要があろうということであります。さまざまな切り口で、この人口問題に正面から取り組んでいきたいと考えております」
会合には県の幹部が出席し、人口減少対策に部局横断で取り組むほか、少子化対策の推進や人口減少社会に適応するための施策に取り組んでいくことを確認しました。
県の推計人口は3月1日時点で100万2090人で、県は来月発表する4月1日時点の推計人口で100万人の大台を割る見通しだとしています。県が2015年に定めた人口ビジョンでは、2050年に85万9000人を目指すとしてきました。しかし国の研究所が去年発表した推計では富山県の人口は2050年に76万2000人としています。10万人近くの開きがあり、県は今年度中に新たな人口ビジョンをとりまとめる予定です。
スタジオには県政担当の神林記者です。富山県の人口がとうとう100万人を割る見込みというのは、県民にとっても衝撃的な数字です。
はい、22日県庁内に、部局をまたがった全庁的な組織が作られたのも、県の非常に強い危機感が表れています。
この県庁内組織ではまず、どんなことに取り組むんでしょうか。
まず、今年度中に新たな人口ビジョンを取りまとめます。県の人口ビジョンでは、100万人を切るのは2026年頃の想定でしたので、およそ2年も早回っています。県の人口ビジョンは、2015年に策定したまま変わっていないため、今回、現実に見合った計画に見直そうとしています。
人口減少のスピードが想定以上に加速しているんですね。
そうなんです。県は2050年の人口目標を85.9万人としていました。一方、国の研究所が発表した人口推計は同じ2050年に76.2万人と10万人近く少なくなっています。
国の研究所の人口推計のほうがずいぶん少ないですね。
国の研究所は、直近の国勢調査などを元に2023年発表したもので、今のペースを反映したより現実的な数字となっています。
県の目標とする人口とどうしてここまで差がついているんでしょうか?
これは人口減少対策が計画通りに進んでいないということに尽きます。この国の推計を行っている国の研究所の専門家は県のビジョンはあくまで「目標としての数字」だと指摘しています。
国立社会保障・人口問題研究所 小池司朗人口構造研究部長
「現状転出超過があるとすれば、10年後、20年後にそれがゼロになる推計とかですね。要は、目標人口的な考え方に基づく推計ということですね」
県もこれまで、あの手この手と人口対策を講じてきました。特に、若者世代が就職などで県外に流出するのを防ぐ対策に力を入れてきました。これにより、県外への転出などの社会減を2020年にゼロにして、その後ゼロを維持するという計画でした。
実際はどうなっていますか。
現状、ゼロにはなっていません。直近で700人あまりの転出超過となっています。
計画と現実に乖離がありますね。
はい、他にも出生率の目標が2030年に1.9、2040年に2.07と想定されていますが、直近は1.46ですから、県の計画と現実がかけ離れています。このため、県では、より現実的なデータをもとに現実的な目標を再設定しようとしています。
具体的には?
例えば、出生「率」にこだわらず、生まれる数、出生数を重視し、子どもを産みやすい社会や女性の県外への転出を減らす取り組みに力を入れていく方針です。また、県内の人口だけでなく、交流人口や関係人口を広げていくことや、高齢者や外国人材の活躍など対策を講じていく方針です。もはや人口減少を食い止めるのではなく、いかに緩やかにして持続可能な社会に適応していくか、新たなステージに入ったといえます。
ただ、地域の未来である子どもたちの数を増やす取り組みは諦めてほしくありませんね。