たった一人の野球部… 連合チームで戦う夏の高校野球富山大会
7月10日に開幕した夏の高校野球富山大会。
部員数が少なく、連合チームを組んで出場する中には、野球部員がたった一人の高校の選手もいます。
監督との二人三脚で臨んだ、最後の夏。そして、15日行われた初戦は、まさかの展開に。
夏の高校野球富山大会開会式 選手宣誓
「富山県高校野球史に残る夏となるよう、全身全霊でプレーすることを誓います」
夏の高校野球富山大会の開会式。部員数が少なく他の高校と組んで出場する「連合チーム」が、2024年は2チーム参加しました。
そのうちの1つが、富山西・呉羽・伏木の連合チームです。ただ一人、グレーのユニフォームに身を包むのが伏木高校3年の田中勇樹選手です。
「こんにちは!」
田中選手は伏木高校のたった一人の野球部員。
練習の準備はすべて一人で行います。
バッティング練習では、自分でボールをセット。
バッティングノイズキャッチボールの相手は…防球ネットです。
入学した時には8人の部員がいましたが、上級生が引退し同級生も部活をやめ、去年の夏の大会後には1人になりました。
伏木高校 田中勇樹選手
「やっぱり寂しいですし、準備とか片付けも大変です」
田中選手を支えてきたのが、監督の鞍田大輝さんです。二人三脚で歩んできました。
鞍田監督
「野球を指導することが出来ているのも田中選手のおかげなので、言うなれば僕に夢を与えてくれている存在」
田中選手
「感謝したい存在です。先生がいなければ今頃はもう野球を出来なかったと思います」
以前は大きな声が響きOB達が白球を追いかけ汗が染みこんだグラウンド。
今は部員1人と監督1人。このまま下級生が入らなければ夏の大会を最後に伏木高校野球部は一旦、幕をおろします。
田中選手
「出来れば伏木高校の仲間と試合に出たかったが、連合チームのみんなも同じ仲間なのでその仲間と一緒に最後の大会に臨みたい」
そして迎えた15日の初戦。
富山西・呉羽・伏木の連合チームの相手は、シード校の高岡高校です。
田中選手は4番ライトで出場しました。部員数の多い富山西と呉羽の監督がベンチに入り、鞍田監督はスタンドから見守ります。
2点をリードされて迎えた7回。3塁ランナーの伏木高校、田中選手が魅せます。
意表を突くホームスチールで1点差に。
そして8回。連合チームは内野ゴロの間に1点を返して同点に。
さらにランナーを3塁に置いて、打席には4番、伏木高校の田中。その初球でした。
センターに高々と上がった打球は、ランナーがかえってくるのに十分な飛距離。
犠牲フライで連合チームが勝ち越します。
最終回。最後のバッターをショートゴロに打ち取りゲームセット。三校一丸となってシード校から大きな勝利を掴み取りました。
そして試合後の球場には伏木高校の校歌も響き渡りました。
鞍田監督
「一日でも長く一緒に野球やっていきたいと思いますので、たくさんの方に応援していただけると嬉しいです」
伏木高校野球部の最後の夏。まだまだ続きます。