犯罪被害者の気持ちに寄り添う・・・“被害者心情の聴取・伝達制度”はじまる
全国の刑務所や少年院で新たに「刑の執行段階等における被害者等の心情等の聴取・伝達制度」制度が1日にはじまりました。
犯罪の被害を受けた人やその遺族の思いを専門の職員が聞き取り受刑者に伝える制度です。制度開始にあわせて山口市の山口刑務所の相談室が報道公開されました。
山口刑務所の施設内に新たにできたのは「被害者等相談室」です。
この相談室で「被害者担当官」と呼ばれる専門の職員が犯罪被害者の心情などを聞きとった上で書面を作成しその後、受刑者に書面を読み上げ伝えるしくみです。
これまでは受刑者との面会や手紙を送ることで犯罪被害者の思いを伝えることはできましたが受刑者が拒めば伝えることができませんでした。
これからは被害者や遺族が希望すれば新たな制度を通して受刑者らに思いを伝えることができます。
制度施行の背景には受刑者の再犯防止を支援するとともに犯罪被害者の気持ちに寄り添うねらいがあるということです。
山口刑務所では元刑務官の男女5人の職員が被害者担当官となります。
(山口刑務所 廣瀬信介 被害者担当官)
「被害者の方々と接するということもあるので被害者の方々の気持ちに寄り添った制度を運用できるように努力していきたい」
この制度では被害者や被害者遺族から申し出があった場合、被害者担当官が原則「対面」でその心情を聞き取ります。
刑務所や少年院に入所している加害者に、その内容を書面で読み上げ伝える制度です。
今回の新たな制度について事件や事故で大切な人を失った遺族らを支援する「グリーフサポートやまぐち」代表の京井 和子さんは前向きに受け止めています。
(グリーフサポートやまぐち 京井和子さん)
「被害者側に対するサポートが徐々に確立されてきたなかの1つなので、非常によかったと思う」
京井和子さん。自身も22年前、交通事故で当時4歳の娘を亡くした1人の遺族です。
(グリーフサポートやまぐち 京井和子さん)
「(加害者が)どうやって生活しているかとかどんな気持ちなのかとか
相手がどういう風にしているのかとか聞きたいこともあったりするんですよね」
自身の経験からも、新しい制度を多くの人に知ってもらうことが大切だと感じています。
(グリーフサポートやまぐち 京井和子さん)
「あとになってから知ることってたくさんある」
「届けを出さないと制度を使えないので、サポートする側がちゃんと知って伝えてもらうことまずそこからかなと思う」
課題はありつつも京井さんは、新しい制度をきっかけに、支援の輪がさらに広がっていくことを期待しています。
(グリーフサポートやまぐち 京井和子さん)
「いろんな人たちがこの心情制度ができたことで、被害者支援とか、生きづらさを抱えている方たちのことを
考えていただける機会になるのではないかなと」