コロナ禍の東京から家族帰省で訪問介護中止は「違法」、医療法人に慰謝料支払い命じる判決 山口地裁岩国支部
コロナ禍の2020年、家族が東京から帰省したことを理由に訪問介護を中止されるなどした山口県岩国市の女性(提訴時101歳)が同市内の医療法人を相手取り、慰謝料などを求めた裁判で、山口地裁岩国支部は27日、原告の訴えの一部を認める判決を言い渡しました。
提訴していたのは、岩国市内で1人暮らしをしていた女性(ことし2月に死去)です。
判決内容などによりますと、女性は2020年1月、岩国市内の医療法人と訪問介護サービス契約を締結。週3回、調理や掃除などの訪問介護を受けていました。
しかし同年6月以降、新型コロナが流行していた東京から家族が帰省したことなどを理由に訪問介護を計8回中止されました。また11月には契約解除を通知され、21年2月以降、訪問介護が終了しました。
女性は21年、医療法人を相手取り、慰謝料など300万円余りを求めて提訴。法人側は争う姿勢を示していました。
山口地裁岩国支部(小川暁裁判長)は27日、訪問介護が中止された計8日のうち7日分について、「新型コロナ感染への具体的かつ合理的な危険性の有無を慎重に検討することなく、家族が東京から帰省したことのみをもって訪問介護サービスを提供しなかったのは正当な理由を欠くもので、許されない」と指摘し、違法と認定。
また、契約解除通知に基づく21年2月以降のサービス終了についても違法と認め、医療法人側に対し、約30万円を支払うよう命じる判決を言い渡しました。
女性から原告を継承した次女(71)は判決後、「訪問介護の中止が、本人にどれほど危険を及ぼすか考慮しなかった」と医療法人側の対応を批判。医療法人は「判決内容を確認したうえで、今後対応していきたい」とコメントしています。