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「地震のことを忘れたい…」前を向いて過ごす能登の子どもたちの夏休み

2024年8月21日 18:52
「地震のことを忘れたい…」前を向いて過ごす能登の子どもたちの夏休み

夏休みも終盤に差し掛かりました。地震で被害を受けた能登の子どもたちはこの夏、どのような時間を過ごしているのでしょうか。輪島市の中学生に密着しました。

黙々と宿題を進める夏休みの昼下がり。
輪島市の中学1年生、池坂 日那汰さんは中学に入って、初めての夏休みを過ごしています。

池坂 日那汰さん:
「結構ペン握る時間が増えた気がします。外で遊ぼうにも遊ぶところがなさすぎて」

小学生の頃からサッカーをしていた池坂さん。通い慣れたグラウンドは今、仮設住宅の団地となり、その面影はありません。
地震で失われた子どもたちの居場所。小学校時代の友達も10人近く、輪島を離れました。

「テレビ見たりして時間つぶそうと思うけど、どうしても暇になったりして結局やめてどうしようかなって考える時間があります」

そんな池坂さん。この夏、遠く離れた異国の地で貴重な体験をしてきました。
ここは輪島市から1万キロ以上離れたフランス・ナントにあるスタジアム。奥能登に住む5人の中学生がボランティアの有志によってパリオリンピック観戦に招待され、池坂さんも参加しました。

池坂 日那汰さん:
「色んな国の人と喋れた!」

異国の文化に触れた8日間。今回、現地に住む人たちへ被災した経験を伝える時間も設けられました。
池坂 日那汰さん:
「(元日は)親戚の家にみんなで集まっていました。最初は震度5くらいの地震が来て、「強い揺れだな」と思ったぐらいだったのですが、その次の瞬間、新しい地震が来て感じたことのないぐらいの恐怖が心からこみ上げてきました」

断水で2か月水が使えなかったこと。親元を離れ、金沢の親戚の家に1か月避難していたこと。今まで話す機会がなかった地震の体験談を通して伝える大切さを学びました。
池坂 日那汰さん:
「今の能登の状況を知ってもらうことで、大変なんだなということだけでも知ってもらえたら嬉しい」

池坂さんの自宅は幸い大きな被害は免れ4月には断水が解消し家族5人で生活しています。
私たちが、取材に訪れていたこの日。九州地方を襲った最大震度6弱の地震。
父・哲也さん:
「日那汰が(フランスに)連れてってもらったボランティアの方とか結構何人かいるんですよ」

別の場所で大きな地震が起これば能登半島地震のことが忘れられてしまうかもしれない。そんな不安も抱えながら生活しています。
そんな今、気持ちが和らぐのは大好きなサッカーをしている時です。

「じゃあ行ってきまーす」
かほく市のクラブチームに所属している池坂さん。父・哲也さんが片道1時間半ほどの道のりを運転し、送り迎えをしています。
父・哲也さん:
「自分のやりたいことを好きなだけやってくれればいいと思います。地震で部活とかできない子もいるので」
日那汰さん:
「2月頃から練習にちょくちょくと参加させてもらってました」


地元・かほく市の生徒がほとんどですが今ではすっかり馴染んでいます。
日那汰さん:
「この時間がずっと続けばいいのにと思います。地震のことを忘れて、今思いっきり楽しむことができる時間です」

地震のことを忘れたい。
そう思いながら過ごす時間もありますが、それでも子どもたちは前を向いて1日1日を過ごしています。