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「災害弱者」をどう支えるのか 寄り添う支援の課題 障がい者支援施設の現状

2024年1月18日 21:26
「災害弱者」をどう支えるのか 寄り添う支援の課題 障がい者支援施設の現状

被災地の課題の一つに障がいのある人たちなど「災害弱者」をどう支えていくかということがあります。
穴水町にある障がい者の入所施設では、一般の避難所ではなく施設内での避難生活が行なわれていました。

穴水町にある障害者支援施設「石川県精育園」。今月1日の地震で大きな被害を受け、施設の中の体育館などに避難しました。
入所する約110人のほとんどは知的障がいがある人。
中には、地震が起きたことそのものが分からない人も…。

慣れない環境への適応が苦手な利用者も多く、施設の統括責任者の田中さんは避難生活の難しさを語ります。

石川県精育園統括責任者 社会福祉法人徳充会 田中こず惠さん「『今からここで寝るのか』とか、 いつもと違う場所で寝ないとい けないので、不安になられたりとか」「いつもとは違う環境になるので、 夜眠れなくて一晩中、声を出し て不安定な状況になったりとか、 そういう様子は見受けられます」

環境の変化に敏感な利用者も多く、生活する場所やケアするスタッフを変えるのは難しいといいます。

田中さん「この利用者のかたはどういう反応を示されるかとか、このかた は不安定な状態になるだろうなとか、ある程度予測できる部分 はあるので」

そして大きな問題となっているのが衛生面です。
飲み水は支援物資とともに届くものの、生活用水は備蓄が底をつきました。
体をふくお湯は、雨水や雪解け水を沸かして使う毎日です。

また、いつもは80人いる職員も被災し、今は60人ほどで対応しなければなりません。
職員も入所者も日に日に疲労が募ります。

田中さん「体育館が非常に寒いということ で、利用者のかたもすごく体が 冷たくなっていたり、布団にグ ッとこもって1日中、寝て過ご す方も多かったり」

体育館での避難生活が続き利用者と職員の疲労もピークに。

そこで、もとの居住スペースの環境を整えた上で一旦、暮らし慣れた部屋へ利用者を戻すことを決めました。

田中さんは今後の課題について。

田中さん「今後、断水が続く状態で、建物も損壊が激しい状態の中で」「どういう風にここの利用者の方の生活とかの安全を守りながら、 もとの暮らしにどういう風に戻していったらいいのかという、 施設のありかたも含めて大きなテーマがある」

避難所に行けない人たちを守る命の砦で、職員の懸命の努力が続いています。
そして被災時、利用者に負担をかけず寄り添い続けるための支援のあり方が模索されています。