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17年前の地震で全壊 再建した酒蔵が跡形もなく…輪島の老舗酒造 立ち尽くす八代目

2024年1月11日 21:28
17年前の地震で全壊 再建した酒蔵が跡形もなく…輪島の老舗酒造 立ち尽くす八代目

石川・奥能登を中心に甚大な被害をもたらした大地震。
その影響は地元の酒造りにも及んでいます。
輪島市内で明治から続く酒蔵の杜氏を取材しました。

「今まさに仕込みのためのお米を置いていた蔵、横は製造するための蔵、そこが全部潰れてしまっているので」

こう話すのは輪島市の酒蔵で酒造りに取り組んできた中島遼太郎さんです。
元日に県内を襲った大地震で酒蔵は跡形もなく崩れ瓦礫が道路に広がっていました。

いまから17年前。

当時、父の浩司さんが切り盛りしていた酒蔵は震度6強の大地震で全壊。
その後、再建し、事業は軌道に乗っていたものの浩司さんは10年前に他界。

息子の遼太郎さんが父の遺志を継ぎ、杜氏として酒蔵を守り続けてきました。

当時の遼太郎さん「震災が起きて起きて頑張ってる父の姿を見せてもらえたので僕はこの世界に興味を持てた」
しかし。今回の地震で再び、被災。

中島遼太郎さん「この後どうしていけばいいのかなっていう不安はありますけど目の前にがれきが転がっててちょっとでも助かるものがあればっていう出してるだけで頭パンパンていう状態」

貯蔵していた酒やことし販売する予定だった数千本の一升瓶は全てがれきの下敷きに。

コロナ禍を乗り切り、新商品の開発を進めるなどまさにこれからという時でした。

遼太郎さん「そこの前で写真最後に瓶持って取ってもらったんですけど…何とも言えん気持ちになって」
「僕が生まれる前からずっと、ほんと先祖代々…」
「僕が生まれる前からずっと、ほんと先祖代々支えてくれた家なので」

明治時代から続く酒蔵はこの先、どうなってしまうのか。

自宅がつぶれたため家族は輪島市の外に避難。
遼太郎さんは倒壊をまぬがれた酒蔵で生活し、がれきを片付ける日々を送っています。こうしたなか、被災した店には常連客がたずねて来ることも。


(常連さんとのやりとり)
遼太郎さん「あ~今持ってきますね一本で良い?ちょっとだけ待っとってください」
常連さん「りょうちゃんがまだ酒作らん時から買いに来とるんやな」「親父酒作ったぞ言うてね」「これ何とか再建してもらわなね」

遼太郎さんが幼い頃から決まったお酒を毎日一本買いに来てくれる常連客です。

遼太郎さん「僕が生まれる前から買いに来ていただいててほんとにちっちゃい時から」「ずっとうちのお酒飲み続けてくれてる大事なお客さん」

8代にわたって酒を造り続けてきた中島酒造店。

地域に根差す酒蔵で遼太郎さんは、こう語ります。

遼太郎さん「先代先代から培われてきたのもが一瞬で今の地震でなくなっちゃったなっていうのでいまから震災前に戻るのは難しい」
「励みには凄くなってます。やっぱりお酒ほしいといっていただけるのが一番うれしいので前向きに」

酒蔵を存続させるすべは…。

先の見えない未来にいまはただ、手探りの状況が続きます。