能登に10か所以上の「土砂ダム」 被災地は週明けにかけ雨 土砂災害に警戒
被災地では週明けにかけて、雨や雪の予報となっています。そうした中、警戒が必要なのが“土砂ダム”です。その危険性から身を守るためには何が必要なのでしょうか。
(珠洲市・12日午後)
地震の発生から12日目。被災地は前線の影響で、朝から雨が断続的に強まっているところも。
(輪島市・11日)
そうした中、警戒が必要なのは能登半島の各地で確認されている“土砂ダム”です。
「土砂が崩れて川に流れ込んでいます」
“土砂ダム”とは地震によって地すべりが起き、川の水をせき止めてしまう現象です。
(イメージCG 提供:北陸地方整備局)
これは土砂ダムが発生するメカニズムを示したCGです。
地震によって地滑りが起きて、土砂が水をせき止めます。
そこに雨が降ると川の水位が上昇します。
水が越流すると、土砂を含む濁流となって下流に流れ込みます。
今回の能登半島地震でできた“土砂ダム”について研究する京都大学防災研究所の松四雄騎教授は。
京都大防災研究所 松四雄騎教授「最悪の場合は大規模に土砂と水が流出して土石流という形で数百メートルあるいは数キロメートルといった長距離を流動して被害を与えるといった事象が起こります」
松四教授の解析によると、“土砂ダム”は輪島市内で少なくとも10か所で形成されているということです。
特に能登町から輪島市をへて、日本海へ流れ出る町野川では、支流との合流点付近の広江地区に多くの土砂ダムが集中しています。
雪が溶けて大量の水となり、土砂とともに下流に一気に流れ出てくるおそれも。
また、松四教授によると、
“土砂ダム”ができているのは水位計が設置されていない中小河川が多いということです。
さらに地震の揺れや停電などの影響で水位計のデータがはかれていないところもあり、これに伴って、自治体からの避難情報が遅れるおそれがあるとの指摘もあります。
では、どうやって警戒すればいいのでしょうか。
京都大防災研究所 松四雄騎教授「ひとつの注目ポイントは川の水量の変化です。水量が通常よりも異常に少なくなっていたりすると上流側に土砂ダムができているかもしれないと推察される。もうひとつは川の濁りの状態です。天然ダムができてその上を水が乗り越えて流出しているというような状況下になると川の濁りが通常よりも強くなって濁水が流下する越流が始まっていると状況の変化に気づくことが可能になる可能性がある」
また、気象庁の「キキクル」でも、災害のリスクを知ることができます。
金沢地方気象台 飯田豊弘 統括予報官「こういった形で洪水危険度であれば具体的に河川の危険度の色が変わりますので今ここが危ないなという形でわかりますので」
青色から黄色、赤、黒と色が濃くなるごとに災害の危険度は高まっていきます。
今後の天気の見通しは。
金沢地方気象台 飯田豊弘 統括予報官「きょうは雨が降っていて一回小康状態になるが寒気が入ってくるので再び雨になる次第に寒気も強まるので平地も含めて雪になる」
週明け以降、“土砂ダム”の解消に向けた動きが始まる見込みですが、当面の間は警戒が必要です。