高校サッカー強豪校も被災…寮に帰れず遠く離れたふるさと新潟で汗を流す日々
高校サッカーで全国大会に出る…そう誓って石川県の高校に進学した三条市出身の生徒が、地震の影響でいま部活動ができない状況にあります。
それを知った新潟県・長岡の強豪校の提案で再びボールを追いかける日々を送っています。
長岡市にある帝京長岡高校サッカー部の練習グラウンド・・
先月末・・チームカラーの緑色ではない紺色のジャージを着た2人の選手がいました。
石川県の強豪鵬学園高校サッカー部の1年生、三条市出身の佐藤光起さんと林優弥さんです。
学校が被災し思うように活動できないなか、帝京長岡の古沢監督が鵬学園の監督と交流があったことがきっかけで当面、2人の練習参加を受け入れることに。帝京長岡の選手に混じって、懸命に汗を流していました。
鵬学園・林優弥選手:
「練習ができなくなった状況で受け入れてもらえて本当にありがたいです」
鵬学園・佐藤光起選手:
「強度が高い中で緊張感持ってできたのでよかったです」
帝京長岡高校サッカー部古沢徹 監督:
「私たちも20年近く前のところで震災を受けてサッカーができない時期があったので微力ながらに本人たちがストレス解消とか不安の解消になってくれればと思います」
「選手権の国立競技場を目指して戦っている仲なので」
三条市の佐藤光起さんの自宅・・
鵬学園は分散登校が始まっていますが光起さんは寮が被災して生活できず三条市の自宅からオンラインで授業を受けています。
「当たり前」が当たり前ではなくなり制限のある暮らしが続いています。
鵬学園は高校サッカー選手権の全国大会にも出場経験のある強豪校。県外からも部員が集まります。
長岡を拠点とするアルビレックス新潟のジュニアユースでプレーしていた佐藤さんは寮生活に憧れを抱き誘いもかかっていた鵬学園に進学。
この年末年始三条市の実家に帰省し迎えた元日でした・・
能登半島地震が発生・・
光起さんが通う鵬学園がある石川県七尾市は最大震度6強を観測。
元日の学校の友だちとのやりとりを見せてくれました。
「これまだ上の方だとあけましておめでとうとか・・1月1日だから・・」
「年明けてすぐしゃべっていてその日の夕方には地震の話で・・」
「どういう状況かとかいまどこにいるかとか家がどれくらい倒れたかとかが・・」
クラスメートからは津波がおし寄せた様子を写した写真も・・現地の緊迫した状況が伝わってきました。
そして学校は・・
「これがちょうど1月1日に担任の先生が送ってくれた写真なんですけれどもこれ教務室で・・・」
「学校再開っていつになるんだろって思いましたね・・」
地震で一転してしまった仲間と暮らしていた日々・・
実家にいる間の日課は愛犬「ルーク」の散歩・・
「力強くない?」「けっこう引っ張られています」「疲れたときとかけっこう癒しになります」
母親の綾子さん・・
被災地の本格的な復旧はこれからで再び大きな揺れが襲う心配も。
親として不安はぬぐいきれません。
「今回これで戻ってきているけど旦那の方が行かせたくないって戻らせたくないって言っていますけどまあどこにいても地震はあるのでまあ仕方がないよっていう・・」
鵬学園サッカー部は2月4日から富山県の旅館に下宿し活動を再開する予定で光起さんも合流する考えです。
綾子さんは光起さんの思いを尊重したいといいます。
「活躍している姿を見れば行かせてよかったと思うので」
「頑張ってほしいです」
「自分がスタメンで出て活躍してチームを全国に導けるように頑張りたいです」
「まあビッグマウスですよね」
オンライン授業が終わった放課後、光起さんの姿は帝京長岡のグラウンドにありました。
「光起、高さはよかった今度はスピード」
今回ともに練習を受け入れてもらった林優弥さんは佐藤光起さんと中学校時代からのチームメート。
2人はサッカーを通じて帝京長岡の選手たちと心を通わせました。
古沢監督:
「逆にこちらも刺激をもらえるというか負けられないっていう形でギラギラして練習しているようには見えました」
「感じ取って何か自分でいろんなものを持って帰って結果的に持って帰ってもらえればいいかなという形ぐらいで・・」
コーチ:
「そういうメンタリティで取り組むならやらなくていい」
「とにかく自立しろ」
そして・・2人の心にも新たな思いが生まれています。
林優弥さん:
「練習ができなくなった状況で受け入れてもらって本当にありがたいですし」
「鵬学園よりも全員が声を出して盛り上げようという気持ちがあったのでそれを見習っていかなければと思いました」
佐藤光起さん:
「個人的にももっともっとやっていかなければと思いましたし自分がこれを持ち帰ってチームに還元できるようにしたいです・・」」
多くの人に支えられてサッカーができていることを再確認した2人。
石川県から全国で活躍する姿をみせると誓っていました。