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【特集】『ほや雑煮』や『おぼろ汁』 地域で大切にしてきた<食文化>を継承する『100年フード』 宮城でもふるさとの味つなぐ取り組み

2024年7月8日 19:26
【特集】『ほや雑煮』や『おぼろ汁』 地域で大切にしてきた<食文化>を継承する『100年フード』 宮城でもふるさとの味つなぐ取り組み

『100年フード』という取り組みを、ご存知だろうか。

地域で大切にされてきた食文化を継承していこうと、文化庁が進めているが、ふるさとの味をつないでいこうと宮城県内でも取り組みが進められている。

6月末、宮城・石巻市で開かれたイベント会場。
その一角にできた行列、みなさんのお目当てはー。

高校生「『ほや雑煮』いかがですか?残り10食です!」

石巻の特産・ホヤから取った出汁に、焼いたお餅をトッピング。
鮮やかなオレンジ色のホヤの身が入った『ほや雑煮』だ。

食べた人
「とてもおいしいです。磯の香り」
「きょう初めて食べましたが、すごく風味があっておいしいです。こんなにおいしいんだったら、もっと普及していてもおかしくない」

用意した100食分は、わずか20分で完売。

販売を行ったのは、地元・石巻市にある桜坂高校の生徒たち。

桜坂高校・家庭クラブ 長谷川七海さん
「(Q.お客さんの様子どうでしたか?)みんなおいしそうに食べてくれて、うれしかったです」

古くは、仙台藩主・伊達政宗も好んで食べていたとも言われる『ほや雑煮』。

石巻市の一部地域では、今でも正月料理として親しまれていて、2022年度 文化庁が定める『100年フード』として認定された。

『100年フード』とは、世代を超えて地域に根付く食文化を継承していこうと、文化庁が始めた取り組みだ。

『ほや雑煮』は、地元・石巻の観光推進機構が手を挙げて『100年フード』として認められたもので、このほか青森『十和田のバラ焼き』や秋田の『きりたんぽ』に『いぶりがっこ』、岩手の『わんこそば』など全国で250件が認定されている。

桜坂高校・家庭クラブ 西大條奏音さん
「『ほや雑煮』は、石巻市の特産品でもあるんですけれど、アンケートをしてみたら知っている人がいなくて今回広めてみようという思いでやりました。今回のことをきっかけにして、全国に広めていきたい」

『100年フード』の取り組みは、宮城・涌谷町でも行われている。

江戸時代、京都の僧侶から伝わったとされる『おぼろ豆腐』。
つるんと柔らかい豆腐に、ショウガを効かせた醤油味のだし汁を合わせた『おぼろ汁』も、『100年フード』として認められた食文化の1つ。
この地域につながる伝統の味を守っていこうと、新たな取り組みが始まっている。

涌谷とうふ店・森新一さん
「『おぼろ汁』がどういうものか知らない人が多いので、それを知ってもらうために『おぼろ汁セット』を作って、若い人や町外の人にも楽しんでもらえるかなと思って開発しました」

気軽に、そして多くの人に『おぼろ汁』の魅力を知ってほしい。

6月から販売を始めたのが『おぼろ豆腐』にシイタケや油揚げなどが入った出汁をつけた『おぼろ汁セット』。

白壁里沙子アナウンサーリポート
「ツルツル、ぷるっぷるです。シイタケや昆布の旨味がたっぷり出たちょっと濃いめの出汁も、豆腐と合っていておいしいです」

もともと、小正月やお盆などの時期に家庭で食べる精進料理として受け継がれてきた『おぼろ汁』。
提供する飲食店もあったが、その数は年々減少している。
材料として欠かせない『おぼろ豆腐』を製造する店すら、町内ではここ1軒という現状の中、地域の伝統を途絶えさせまいと奮闘している。

涌谷とうふ店・森新一さん
「皆さん作り方が違うのが特徴です。一生懸命研究しました。町民の人からも教えてもらったりして。何回も何回も食べてもらって、これでいいかなという味に辿り着きました。涌谷のおぼろは、伝統の商品なので、この『おぼろ汁セット』を幅広く小売店で販売して広まっていければ。そして涌谷の名前が売れればいい」

地域で育まれてきた個性豊かな食文化を、この先も守りたい。
そのための様々な取り組みが、宮城県内でも進められている。