【「介護職員」不足】老人ホームで働くインドネシア人女性に密着 求められる外国人の人材確保の課題(宮城・名取市)
宮城県の推計では、「介護職員」が2025年度には4188人不足する見込みだ。
その対策として、外国人の人材確保が求められる中どのような課題があるのか、宮城・名取市の老人ホームで働くインドネシア人の女性に密着した。
自宅アパートのキッチンでお昼ご飯を作るのは、スチ・フノウさん(25)。
スチさん
「インドネシア人は辛い食べ物が好きなので、料理を作る時唐辛子も全部混ぜる」
炒めた唐辛子とニンニクに発酵させた大豆を混ぜ合わせる。
出来上がったのはインドネシア料理「テンペオレ」。
毎日、出勤前に故郷の味でスタミナをつける。
スチさんの仕事は「介護職」だ。
スチさん
「介護の言葉は、日常の言葉と全然違うので大変です」
勤務先は、宮城・名取市にある老人ホーム。
スチさんは、外国人技能実習生として2年前に来日し、高齢者の食事や入浴などのサポートを担当している。
同僚からの評価はー。
施設主任
「人が良いので利用者からも好かれますし、職員からも好かれています。(外国人だから)というより人としてとても素晴らしい人」
入居する高齢者
「(Qスチさんの素敵なところを教えてください)一杯あって分からないんですけど、優しい方です」
スチさんの施設では、7人のインドネシア人が働いている。
施設では、ここ数年 人材確保に苦労してきた。
宮城福祉会・松川弘理事長
「昔は、求人を出せば専門学生とかが多く来てくれていたが、最近は10人の募集に2~3人しか専門学校から(の応募が)なくなった。我々としては外国人の方々に協力してもらわざるを得ない」
こちらは、「介護職」の本来必要な需要を赤で、実際の供給を青で示したグラフ。
宮城県内で働く介護職員は、高齢化により2025年度には4万1413人が必要になり、4188人もの人材が不足する見込みだ。
介護現場での外国人材の本格的な受け入れは2017年に始まり、現在 県内では技能実習生などとしておよそ500人が働いている。
国籍別ではベトナムが最も多く、次いでインドネシアとなっている。
これはスチさんの日本語ノート。
丁寧な文字でびっしりと書かれていて、日本語を熱心に勉強してきたのがうかがえる。
スチさん
「(入居者と話すのは)方言は大変です。
しゃっこい、しゃっこいってなんですか?
最初、めんこいめんこいと良く言われて、めんこいって何ですか?悪い言葉かな。
日本人に聞いて、可愛いよ(という意味)。ああそうですか、と。知らなかった…」
スチさんはインドネシアの大学を卒業後、日本で介護の仕事に就きたいと、現地の日本語学校に通った上で来日した。
スチさんの在留期間は3年で、残り1年あまり。
試験などを受け、在留期間を延ばせる特定技能を取れ、ばさらに5年間日本に滞在できる。
スチさんは、どのように考えているのかー。
スチさん
「最近気になっているのは、ビジネス。自分のビジネス作りたい。(Qそれは日本でですか?)違う、インドネシアで。インドネシアに帰ってから、自分のビジネスを作りたい」
宮城県は、去年ベトナムやインドネシアと人材受け入れの覚書を交わした。
円安などの影響で、外国人材の獲得が難しくなる中、県では宮城を勤務地に選んでもらえるようサポート体制を充実させたい考えだ。
村井知事
「一番大きな課題は円安。円の価値が低いということは、 自国通貨になった時に収入が少なくなるということ。その分日本語を覚えて日本のマナーを覚えて、インドネシアに帰った後にいい企業に就職していただけるような支援をすることで宮城に来たい、日本に来たいと思っていただけるようにしたい」
今後、4000人もの介護人材の不足が見込まれる中、外国人の存在は必要不可欠となっている。