【解説】カギは“自民票”の行方「衆院長崎3区補選」来週告示 “野党対決” で前哨戦に火花《長崎》
告示まで1週間となった衆議院長崎3区補欠選挙。
谷川弥一氏の辞職に伴い、行われる今回の補欠選挙には、これまでに立憲民主党の現職、山田 勝彦氏(44)と日本維新の会の新人、井上翔一朗氏(40)の2人が立候補を表明しています。
小選挙区制になってからの過去9回の選挙のうち「8回」は、自民党候補が勝利しているまさに “保守地盤”。
4人の戦いとなった前回・2021年は、谷川氏が山田氏を退けました。山田氏は比例復活で初当選しています。
今回、自民党は候補者の擁立を見送り、党員らの選挙への対応は「自主投票」とすることを決定しました。
▼ “保守地盤”長崎3区 自民「候補者擁立見送り 自主投票へ」
(自民党県連 古賀友一郎 会長)
「次なる総選挙を見据え、各党員、党友に対しては、党の規律に従ったその行動をお願いしたいと思っているが、(擁立見送りの)経緯に鑑みれば、我々として、ああしてください、こうしてくださいということは大変はばかられる状況」
補選を含む国政選挙で自民党が県内選挙区に候補者を擁立しないのは、結党以来初めてで「自主投票」での対応も初めてとなります。有権者はどう受け止めたのでしょうか。
▼ “野党対決” 選挙区での反応
(70代大村市民)
「谷川弥一さんは谷川さんとして。
自民党として (これから)どういう形で頑張っていくのか。自民党からも立候補してほしいとは思う」
(30代対馬市民)
「(自民党には)候補者をぜひ出してほしかった。もっと子育てがしやすい環境になるように議員が変わってそういうところにも力を入れてほしい」
(70代対馬市民)
「(自民党内で) 火中の栗は拾わないでしょ、誰も」
(40代大村市民)
「野党だけになるのは仕方ないのではないか。自民が出てもたぶん勝てない」
(70代大村市民)
「(野党一騎打ちになっても) その人によって入れる。党によって入れるえわけではない」
(20代対馬市民)
「不祥事での選挙というのは、(有権者は)考えるところがあるのではないか。若者の投票率が低いというのはあるので長崎、日本を背負える人を選挙で選びたい」
野党候補者による一騎打ちが濃厚となり、いわゆる “自民票” の行方がカギを握る、今回の補欠選挙。前哨戦は始まっています。
▼立憲民主党の動き
4月5日、大村市で開かれた立憲民主党、山田勝彦氏の国政報告会。
蓮舫参議院議員が駆け付け、支援を呼びかけました。
(蓮舫 参議院議員)
「自民党がいなくても、政治を動かす政治家をしっかりと選ぶことができる市民の皆さんがいるということをどうか明らかにしていただきたい」
事実上の「総決起集会」には、多くの支援者が集まり、500席のホールはほぼ満席に。
(山田勝彦氏)
「お金の力で動く今の金権政治ではなく、国民の長崎県民の声で動くまっとうな政治へ、もう変えんば」
山田氏の父は、民主党政権で農林水産大臣を務めた正彦氏。地盤を受け継ぎ臨んだ前回・2021年の総選挙は、比例復活で議席を獲得しました。
選挙区の区割りが変更される次の総選挙では「新2区」からの立候補を予定していましたが、旧3区でのリベンジを果たしたいと、比例での議席を辞して補選に挑みます。
6日、党本部から入ったのは、岡田克也幹事長。
(立憲民主党 岡田克也 幹事長)
「本来国境の離島に対して、(支援するのは)県の話ではなくて国の話。だから国の負担割合をもっと増やすことで、実質、県の負担は増やさない形でやっていこう」
各地で対話集会を開き、離島航路の低料金化の対象を島民以外にも広げることや、農林漁業者向けの所得補償などを進めると力説しました。
(山田勝彦氏)
「この地域の課題を解決するために、どういう政策を実現したいかが重要だと思う。維新の井上さんと政策論争を展開していけたらいい」
(岡田克也 幹事長)
「自民党が出ないのはある意味残念だと思うけど、我々は政権を次の選挙で目指す政党。維新は馬場代表が『第2自民党』ということも言っている。どちらを選んでもらうかということ」
一方、日本維新の会からは、新人の井上翔一朗氏が初めての選挙に臨みます。
(井上翔一朗氏)
「まだ長崎で(政治)活動を始めてたった1か月。知名度は全くない」
福岡市出身で2018年に平戸市に移住。学習塾を経営していますが、学生時代から国会議員の事務所スタッフを務めるなど、政治への関心が高かったそうです。
(井上翔一朗氏)
「(これまでは)私自身も、有権者として政治を変えたいけど選択肢がないという状況だった。今回新しい選択肢を長崎の皆さんに示して、新しい政治を作っていきたい」
3月末に行われた佐世保市での事務所開きには、党本部から、音喜多駿政調会長が出席しました。
(音喜多 駿 政調会長)
「我々は地方自治体で首長を何十人も出して、しっかり実績を積んできた。こうしたことも、離島も含めた地方の人に伝えることが重要な選挙になる」
5日からは馬場伸幸代表も長崎入り。維新の会は次期衆院選で、野党第1党を目指す考えを示していて、野党一騎打ちが見込まれる今回の補欠選挙は「重要な意味を持つ」と力を入れています。
(馬場伸幸代表)
「(立憲民主党の)改革マインドは、非常に低い。立憲民主党に任せて構造的な抜本改革ができるかと言えば、私は無理なのではと見ている。改革に果敢にチャレンジしていく政党はどこなのかという観点で、今回の選挙戦を見てほしい」
自民支持層の取り込みも視野に、安全保障などに関して自民と政策協議を進めていることや、憲法改正への取り組みを進め自衛隊を明記することなど「改革保守」を掲げる維新の政策を訴えるとしています。
(井上翔一朗氏)
「(3区は)国境離島が多く、安全保障上も非常に重要なところ。自衛隊の隊員も多い。安全保障に関する政策を訴えることで、自民党支持層もそれを見て、日本維新の会でも大丈夫だと思ってもらえるのでは」
長崎3区補欠選挙は4月16日告示、28日に投開票が行われます。
【「NIB news every.」2024年4月9日放送】