必要な予算は1億円以上か 若桜駅と直線距離で200メートルの道の駅を結ぶ跨線橋(こせんきょう)の設置計画に慎重な声 景観への影響は?財源確保は?町民の理解は得られるのか? 鳥取県若桜町
鳥取県東部を走る若桜鉄道。終着駅の若桜駅でいま鳥取県若桜町が進める鉄道をまたぐ歩道橋の設置計画に疑問の声があがっています。
鳥取県若桜町にある若桜駅。自然豊かな里山の中を走る若桜鉄道の終着駅です。いま、この小さな駅で進む線路をまたぐ橋「跨線橋(こせんきょう)」の設置計画が波紋を呼んでいます。
鳥取県若桜町 観光企画課 北内泰久 さん
「ちょうどそちらに桜が植えられてますけど、その手前からまっすぐわたりまして、商工会の建物の左側ですね。そこにまっすぐ伸びる予定になっております」
若桜駅と線路を挟んで立つ道の駅「若桜 桜ん坊」をつなごうと計画の進む跨線橋の建設。直線距離では200メートルほどの距離ですが、道路沿いの歩道を移動すると約400メートルの距離を5分かけ歩くことに―。そこで跨線橋を作り移動距離を短くする狙いです。
若桜町の上川町長に跨線橋を設置する目的を聞きました。
鳥取県若桜町 上川元張 町長
「地元の人からもあそこをつなげられないかというような声が出ていたのがあります。道の駅にオートバイ神社もできて、休日はライダーの方もたくさん来ておられますし、そういう所(若桜駅方面)に誘導するゲートウェイのような位置づけで整備すれば、にぎわいが増えてくるんじゃないかと」
道の駅「若桜 桜ん坊」は、バイクツーリングに人気の国道29号に面していて近年、ライダーからの人気を集めています。2024年4月には、駐車場の一角にオートバイ神社が登場。ツーリングスポットとして人気が高まる中、若桜駅と相乗効果を期待します。その一方で、若桜鉄道の魅力であるレトロな風景を壊してしまうのではないかと慎重な声が上がっています。
鳥取県若桜町 上川元張 町長
「議会でも議論になったんですけども、景観の面で心配される声というのを私も聞いておりますけども、非常に大切なポイントだと思いますので、なるべく目立たない色、木目のようなものを活用するいうのも選択肢として考えております」
反対意見にも配慮し、さまざまな意見を取り入れたいと話しました。跨線橋の設置に反対するのは、これまでさまざまな形で若桜鉄道に関わってきた人たち。「若桜鉄道サポーターズ」の一人、兵庫県尼崎市に住む北山浩之さんは、16年ほど前から若桜鉄道が開く乗車体験会などのイベントをボランティアとして手伝ってきました。
若話桜鉄道サポーターズ 北山浩之 さん
「もともとなかったものですし、本物のレトロとなると、やはり変わらないもの変えないことっていうのも一つのアピールだと思いますので、そこが失われてしまってはなかなかその看板として難しいのではないかなと感じています」
さらに具体的なメリットが分かりにくいと話す北山さん。
若桜鉄道サポーターズ 北山浩之 さん
「(若桜駅と道の駅は)お互い見えている距離なので、歩いても行ける話なんですよね。果たして誰が使うのかユーザー像がちょっと見えないなと」
この跨線橋の設置工事には、調査や設計などのため約2400万円の予算が確保されており、実際の建設には土地の取得や周辺施設の整備を含め、全体で1億円以上の予算が必要になるとみられています。若桜町では、跨線橋の設置に交付金などの活用を検討するとしていますが、財源の確保はこれからです。少子高齢化など課題も多い中、限られた財源をどう使うのか、町民の理解も欠かせません。
若桜町では今後、意見交換の場などを設け、話し合いを進めていきたいということです。