【特集】黒い卵の塊が毎年漁港に流れ着く 風間浦村特産アンコウの生態を大学院生が研究!
特集は風間浦村にこの時期流れ着く黒い物体です。世界中を見渡しても珍しいというこの物体の正体は風間浦の特産の海洋生物でした。
風間浦村の下風呂温泉郷から西におよそ6キロの場所にある桑畑漁港。この漁港にまいとしこの時期流れ着くものがあります。
漁港に浮かんでいる黒い物体はアンコウの卵です。
★北海道大学大学院 石川智也さん
「ふ化したあとでぴこぴこ動いているような段階です このゼラチン質『卵塊』で生活するほとんど末期の状態でかなり黒くなったほとんどがオレンジだったり青色だったりなのですけど」
説明してくれたのは北海道大学の大学院生でアンコウの生態を研究している石川智也さん25歳。中屋光裕准教授と4年前から風間浦村を訪ね、なぜか桑畑漁港に多く集まるアンコウの卵を採取しています。実は先ほどの卵はほんの一部でアンコウの卵は3メートルから4メートルほどの帯状となって海を漂います。この日漁港では2つの卵の塊が確認できました。
★石川智也さん
「キアンコウの仲間は大西洋、ブラジルであったりナイジェリア、イギリスの方にもたくさんいるのですけど世界中のキアンコウを見てもこのゼラチン質の卵塊、卵帯が採れる場所、このように数多く採れる場所というのはここ以外になくて かなり珍しい場所となっています」
風間浦村の海底は港から2、3キロほどの場所で水深が急に70メートルから80メートルになることからアンコウが生息しやすいと言われています。
この漁場の近さはアンコウを生きたまま水揚げすることができる全国的にも珍しい場所となっています。肝に栄養を蓄えアンコウがおいしくなる冬場には刺身や鍋などアンコウ料理を目当てに多くの観光客が訪れます。
その風間浦村のアンコウの水揚げ量は2009年に過去最も多い162トンの水揚げがあり、一時36トンまで落ち込みましたがその後は回復し去年も103トンほどとここ数年は安定しています。ただ近年海の環境は変わり、かつて風間浦村で主力だったイカも不漁が続いています。
石川さんたちはまだよく分かっていないアンコウの生態を解明し資源の安定化につなげたいとしています。村でアンコウのブランド化を進める団体の会長を務める駒嶺剛一さんは石川さんたちの研究を歓迎しています。
★ゆかい村風間浦鮟鱇ブランド戦略会議 駒嶺剛一会長
「アンコウを稚魚にして海に放流して資源豊かな持続的にアンコウがとれるような そんな研究成果をあげてほしいなという思いで取り組んでいきたいと思います」
★石川智也さん
「漁師さんや地元の方とお話していると本当にここで取れるキアンコウというのが主幹産業であり本当に大事な産業で大事な魚なんだなと実感するので いまだ謎の多い卵や仔稚魚なのでその謎をひとつでも多く解明できればと思っています」
いまだ謎に包まれたアンコウ。村の特産を未来へつなぐための石川さんたちの挑戦が続きます。