来週11日で東日本大震災から14年です。特集は命を守るための対策、2回目は「半島の孤立の備え」です。
去年の能登半島地震では集落が孤立、救助や支援が届かない事態が相次ぎました。
大きな半島がある青森県、孤立へのリスクにどのように備える必要があるのか考えます。

下北半島を襲った4年前の大雨で、むつ市と風間浦村を結ぶ唯一の国道の橋が崩落し集落が孤立しました。
津軽半島でも2022年の大雨により海岸線を走る一本道で土砂崩れが発生、孤立集落が相次ぎました。
県内では孤立の恐れがある集落が海沿いと山沿いを中心に、地震の場合125か所、大雨の場合145か所に上ります。

このうちの1つ、今別町の袰月地区です。
3年前の土砂崩れで住民たちは一時孤立を余儀なくされました。
地区の総代は…。

★袰月地区　小野広益 総代
「土砂がいっぱいで向こうに行けないそういう状態だった」

買い物や通院は町から出ることがほとんどで、災害に強い道路の必要性を感じています。

★袰月地区　小野広益 総代
「寸断されるとダメなのでやっぱりもう1本新しい道路ほしいですね」

県の防災アドバイザーは…。

★県防災アドバイザー山口大学大学院　瀧本浩一 准教授
「まずハード対策としては道路が被害を受けにくいような道路の整備ネットワークの多重化、ソフトの面で備蓄を強化することで、いざそういったものが途切れたときに困らないように最悪の場合災害関連死が出ないように考えていくことが大事」

袰月地区にある避難所には当時30人ほどが身を寄せましたが課題がありました。

★今別町総務企画課　太田和泉 課長
「海岸線の地区が一時孤立しました　そういったときに備蓄品等の拠点がなくて…」

これまで町は防災物資の多くを役場や体育館に置いていました。
このため物資を孤立地区に運び入れることが入ることができなくなりました。

★青森放送　能代谷俊朗 記者
「町内の海沿いにあるこちらの避難所には去年新しく備蓄倉庫が設置されました」

★今別町総務企画課　太田和泉 課長
「（備蓄の）拠点を分散することで災害リスクも低くなると思うので、今後も必要な箇所は拠点を小さくても配備していくことができれば」

町は今後も備蓄の分散化を進める方針です。
下北半島の佐井村でも備蓄の分散化を進めました。
主な避難所9か所に防災物資を備蓄する倉庫を設けています。
まいとし物資を買い足しており、この日はエアベッドを新しく備えました。

★佐井村 総務課　竹内智志 主事
「今年度はベッドとマットレス　使い捨てトイレが来週末の納入を予定しています」

このほか村では電気自動車の電気を避難所に送る装置を配備。
孤立した集落と連絡が取れない事態を防ぐため無線機も用意しています。
また風間浦村ではヘリポートなど、陸路以外の避難経路などの確保を急いでいます。
来年秋ごろに完成予定の新庁舎に整備されるほか、別の地区にも整備を検討しています。

県も新しい対策として、半島部や西海岸など孤立が懸念される地区の避難所に県の備蓄品を保管できるよう市町村と調整を進めています。

★県防災危機管理課　佐賀雅英 主事
「備蓄品目を拡充するほか孤立が想定される地域内の避難所への保管を進めていきます」
「県としては関係市町村と連携しながら半島部の孤立対策を進めていきます」

また孤立集落にドローンを使って物資を運び入れる支援ができるよう、ドローン事業者と協定を結ぶなど備えを進めています。
ただ専門家は行政の支援には限界があるとした上で…。

★県防災アドバイザー山口大学大学院　瀧本浩一 准教授
「長期の孤立を想定して食料や日用雑貨を個人でまず備蓄をすると同時に、町内会や自治会など自主防災組織レベルでそういうときに備えて備蓄をしていくと」
「半島部分はなかなか支援の手が入りにくいですから3日では少し足りない　1週間くらいはせめて備えていただくと良いかなと」

半島以外でも決してひと事ではない災害による孤立。
備蓄を含めて、それぞれが自分ごととして必要な備えをすることが大切です。