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設立から46年…子どもたちが互いに教え合う“手話サークル”続ける女性の思い

2024年1月25日 19:00
設立から46年…子どもたちが互いに教え合う“手話サークル”続ける女性の思い
伊予市の手話サークル「どんぐり」

地域福祉などの分野で貢献のあった個人や団体に贈られる南海放送賞。その受賞者を紹介しています。

きょうは、聴覚障害者が安心して暮らせる社会を目指し、地域で活動を続ける伊予市の手話サークル「どんぐり」です。

音楽に合わせた、手話の練習。

伊予市手話サークル「どんぐり」の山下さとしさん。今から46年前の1978年、聴覚障害者が安心して暮らせる社会を目指し手話サークルとして設立された「どんぐり」の会長です。

山下さん:
「(言葉を)バリアフリーにすれば(聴覚障害者も)普通に生活ができるじゃないかなという思いで手話を広めてきた」

「どんぐり」というサークル名は、「やじろべえ」に由来しています。

山下さん:
「聞こえる人・聞こえない人、どちらにも傾かなくて中立を保っているというところから名付けられた」

設立からこれまでにサークル活動に参加したのは、およそ170人。現在6歳から70代までの39人のメンバーが、伊予市で週に2回活動しています。

「どんぐり」の大きな特徴は“子どものメンバーが多い”こと。

高校1年生:
「伊予市の成人式に君が代の手話通訳で呼んでもらってそこで手話サークル『どんぐり』を知って、手話が楽しかったので入ってみようかなと思って」

地元で行われるイベントに積極的に出演するなどしてサークルの認知度が上がり、ここ5年ほどで近くに住む小中学生の参加者がおよそ5倍に増えたといいます。

ベテランの子どもたちがリーダーとなり“お互いに教え合う”。これが「どんぐり」のスタイルです。

生まれつき難聴の娘と学んだ手話「今何に困っているか」が分かるように

伊予市で暮らす、白石優空くんと結花さん兄妹。妹の結花さんは生まれつきの難聴で、両耳に補聴器をつけて生活をしています。

母・白石早紀さん:
「“難聴=喋れない”みたいな頭しか全然知識もないし『この子喋れないのかな』という不安には襲われた記憶がありますね」

両親のサポートで療育施設に通い、幼少の頃からたくさんの文字や音に触れた結花さん。いまでは不自由なく会話できるようになりました。

そして3年前、友人からの誘いで出会ったのが「どんぐり」です。

母・白石早紀さん:
「(どんぐりに)入ってきた子に教えてくれるというのが伝統的にできているんだと思うんですよね。手話を使えるところは使ってくれるようになって『今、それが困っているんだ』とか気づいてあげられるようになったかなと」

多くの人に手話を知ってほしい 小学生参加の交流イベントも開催

この日は地元の人を招いての「クリスマス交流会」。日頃の練習の成果を発表する場として18回目を迎える恒例イベントです。

近隣の4つの小学校などからおよそ70人が参加しました。

山下さん:
「こんなにたくさんの参加者がいてとても嬉しく思っています。みなさんと楽しくできたらと思っています。よろしくお願いします」

練習を重ねてきた「手話歌」のほか、手話を使ったビンゴやじゃんけん大会で会場は大盛り上がりです。

参加者:
「トナカイさんの歌とかがちょっと難しかったけどできるようになりました。耳が聞こえない人とかに手話でお話ししてみたいです」

たくさんの笑顔で溢れた「どんぐりクリスマス交流会」。

白石結花さん:
「手話サークル以外のお友達にも手話のことを知ってもらえて嬉しかったです」

山下さん:
「みんなが一生懸命手話を真似して表してくれてよかったかなと思います。今年は(参加者が)すごく多かったので準備も大変だったんですけど(みんなが)スムーズにやってくれたので助かりました」

手話のすそ野を広げる、伊予市手話サークル「どんぐり」の活動。

山下さん:
「私の生きがいと子どもたちからはパワーをいただいています。私がこれを辞めたら多分ダウンするかなと思うくらい本当に元気をもらっています。元気な間はずっと続けたいと思っています!」