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「仕方のない飼育放棄は絶対にない…」保護活動通して 23歳が目指す“人と犬の共生”のあり方

2024年1月19日 19:03
「仕方のない飼育放棄は絶対にない…」保護活動通して 23歳が目指す“人と犬の共生”のあり方
動物福祉団体「ウィッシュミーラック」

人間の身勝手な理由で失われる動物たちの命を1頭でも多く救いたい。そんな思いで、野犬や飼育放棄された犬などの保護・譲渡を行う若者がいます。

活動開始からまもなく2年。彼女たちがこれまでの活動で得たモノ、そして目指す形とは。

森田夢可さんと芝田萌々さん。ともに23歳です。おととし、クラウドファンディングで動物福祉団体を立ち上げました。

野犬や飼育放棄された犬が「二度と行き場を失わないよう」トレーニングに注力

彼女たちが力を注ぐのは、トレーニング。保護してそのまま譲渡するのではなく、人と生活する上で必要なマナーを身に付けてから譲渡します。

ウィッシュとラックは団体設立直後に、初めて県動物愛護センターから引き取った元野犬。保護したばかりの時は、警戒心が強かったものの、トレーニングの後、それぞれ新たな飼い主に出会い、無事、施設を卒業しました。

芝田さん:
「飼い主にもこの子たちと生活することが苦痛じゃなくて楽しいことっていう風に思ってもらいたいので、それが結果的に保護犬が二度と行き場を失わないための大切なことだと思う」

11頭が新たな里親のもとへ 譲渡後もつづく家族との交流

ウィッシュとラックの卒業後、施設には次々と保護犬がやってきました。

陽気な性格の犬もいれば…少し慎重派の犬も。

そして、中には…

森さん:
「そうたが初めてよね。本気で人に噛む。人に対してすごく攻撃的な感じやって」

「ウウウウウ…」

問題行動を起こしていた犬も。

しかし、一頭一頭の性格にあわせて地道に丁寧にトレーニングを続けると…

森田さん:
「いけそうやなって思ったら自分のタイミングでいって。もしガウッてなったとしたら、その場で固まって」
(芝田さん犬を抱き上げ)
森田さん:
「上手~!グッド!おりこうおりこう」

この犬も、新たな家族が見つかりました。団体設立後、去年12月までに保護した17頭のうち11頭が施設を「卒業」しました。

芝田さん:
「エマちゃん。エマ?わかる?」

元保護犬のエマ。去年5月、新たな家族が見つかりました。

この日は、プールで遊ぶため、3か月ぶりに施設を訪れました。

森田さん:
「どの辺まで言うこと聞けそうですか?興奮的に、お座りまではもっていける?」
エマの里親・木村さん:
「もっていけるんですよ。お座りまでは持っていってプスンプスンって言ってる」

エマに一目惚れしたという木村さん。出会って数日後に里親になることを決めたといいます。

木村さん:
「保護犬って色々可哀想な境遇で育ってたりしてるから、そこに愛情が注げれたらいいかなっていうので。(エマが)来てくれて本当に良かったですね、もうそれしかない」

譲渡した後も、里親家族と交流している森田さんと芝田さん。

森田さん:
「本当幸せなんやろうなっていうのが分かって良かった。ずっと連絡取れたり、顔出してくれたり…いいよね」
芝田さん:
「やりがいがね」
森田さん:
「それがあるから頑張れる」

活動を着実にステップアップさせながら新たなことにも挑戦中です。

犬も介護が必要になることを知ってほしい…始めた“シニア犬”の受け入れ 

「こんな元気な感じ。誰よりも軽快やなおうちゃん」

施設にやってきたのは、10歳以上とみられる保護犬です。

芝田さん:
「シニアの子も入れて介護の大変さとか介護でいくらお金がかかるとか、そういうのも私たちが保護活動しながら一般の人に啓発できるんじゃないかなというので」

若い成犬だけではなく、身体的な衰えが出てくるシニア犬の保護・譲渡もスタートしました。

これまでに4頭のシニア犬を保護、新たな家族が見つかったケースもあります。

しかし…

芝田さん:
「体調のことだったり、あとはおうちゃんの性格的なところもあって、シニアといえどすごい元気なところもあるので。なかなかね…」

「家族みんなに愛されてから一生を終えてほしかった」悔しさも

芝田さん:
「自分だけの家族のもとに見送れずここで亡くなっちゃうというのは悔しい部分もすごく多くて。家族みんなに愛されてから、一生を終えてほしかった」

森田さん:
「どんな理由であっても仕方のない飼育放棄は絶対ないと思うので、そういう意味でもその啓発をもっとしていかないといけないというのは改めて感じた」

「犬に対して地域の人が集まってくる」新施設の建設に向けて

看取り保護によって決意を新たにし、迎える三年目。二人が目指しているのが…

森田さん:
「いよいよ独自の施設を三年目には作ろうかというので今動いている」

東温市に新たな施設の建設を計画しているのです。保護できる犬の数を拡充するほか、新たにペットホテルや一時預かりなどもスタートさせる予定です。

現在、新設費用の一部に充てるため、350万円を目標にクラウドファンディングを行っています。

芝田さん:
「保護活動だけじゃなくて、犬に対して地域の人が集まってくるような、色んな人が集まれるような空間にしたいと思っていて。将来的にはこども食堂を併設したような施設を作って、動物保護に限らない活動をここでどんどんやっていきたい」

高いハードルですが今年秋の完成を目指して、二人は走り続けます。

森田さん:
「新施設に移動して、動物保護の根本的な部分を解決するために、行き場を失っている子を救うだけでは、現状変わっていかないのでそこを変えるための動きをしたい。犬として生きていて幸せだったって思ってもらえるような、そういう風に皆がなればいいなと」