この春開校「FC今治高校 里山校」独自のカリキュラムで目指す“新しい学校のカタチ”
この春、今治明徳高校矢田分校がFC今治高校 里山校として新たなスタートを切りました。独自のカリキュラムが満載の新しい学校のカタチを取材しました。
今月9日、サッカーのスタジアムを会場に行われた入学式。サッカー元日本代表監督の岡田武史さんが学園長を務めるFC今治高校 里山校が開校しました。
岡田武史学園長:
「うちの先生は答えをみんなに与えません。まずこの学校の中心になるのは“主体性”。主体性とは自分が何をしたいか、どう思っているか。それをしっかり持つこと」
県内外から34人の1期生が入学
1期生は34人、県内の他、東京や鹿児島などから来た入学生もいます。
FC今治高校 里山校 宮谷拓也先生:
「生徒の顔を見ると初々しくて、いよいよ始まるんだなと実感が湧いてきました」
入学式の4日前。
1期生:「おはようございます」
寮長:「よろしくお願いします。」
学校の寮では、1期生が引っ越し作業の真っただ中。
神戸から来た1期生:
「新しい寮なのでめちゃめちゃキレイ。これから2年間どんな友達ができてどうやって一緒に暮らしていくか楽しみです」
小学校教諭から転向!数学の先生も新たなチャレンジ
一方、学校でも先生たちが生徒を迎える準備を進めていました。
宮谷先生:
「数学の授業の計画をなんとか仕上げてきて」
里山校で数学を担当する宮谷拓也先生。今治市出身の宮谷先生は小学校の先生だった両親の姿を見て教師を目指し、先月まで、市内の小学校で教鞭をとっていました。
宮谷先生、3人の女の子のお父さんでもあります。小学校の教師を辞めて新しい高校で数学の教師への転向。
「妻の存在が大きくてあなたのやりたいことをやるのが一番よと言ってくれたので、それだったら大丈夫だと思って決断しました」
“新しい学校”のカタチを自分も一緒に作っていきたい。生徒だけでなく、先生も大きな一歩を踏み出した春です。
テストの点数は問わない独自のカリキュラム設定
FC今治高校の授業は、午前に国語や数学などの一般教科があり、午後からは特別講座をメインとした時間割。特別講座の中には、四国88か所の歩き遍路に挑戦する野外活動や、スポーツやアートのプロから学ぶフィジカルプログラム。
また、元プロ野球選手の古田敦也さんや指揮者の佐渡裕さん、EXILEのHIROさんなどの各分野の先駆者からリーダーシップについて学ぶ授業、と独自のカリキュラムが組まれています。
宮谷先生の数学の授業が始まりました。
宮谷先生:
「理想のパートナーと巡り合う確率。何歳の時に巡り会った人と結婚するのが一番幸せに暮らせるか数学で出せるらしいです。近くの人と喋って。何のために数学を学ぶか」
自分の好きなことやモノなど、日常を数学的に考える場がFC今治高校の“数学”です。
宮谷先生:
「例えば海外に行って日本語で話しても多分通じないですよね。でも英語を使ったら喋れますよね。でももっと通じるものがあるらしいです。何だと思います?」
生徒:「心」
平内秀樹先生:「良い答えです」
宮谷先生:「面白い」
宮谷先生と数学を担当するのはこの道30年のベテラン、平内先生。
平内先生:
「テストして何点とりなさいという指導はしませんので。やっておもろいな、やってやりがいがあるなと思う数学をやりましょう。その辺にも、自分なりにチャレンジしてほしい」
1期生34人中25人は親元離れ寮生活
午前の授業が終わり、昼食の時間。1期生34人中25人は親元を離れ寮生活を送っています。
学校で注文したからあげ弁当を食べる生徒に。友だちが作ったお弁当を食べる生徒も!
女子生徒:
「慣れない味なんですけどおいしいです」
宮谷先生は…オムライスの、愛妻弁当です。
各分野のプロをゲスト講師に迎える「特別講座」とは
この日の午後の授業はプロのアスリートから学ぶ「スポーツプログラム」。身体や心を動かしながら、世界に踏み出す感性を身につける特別講座です。
アーティスティックスイミング 元日本代表 杉山美紗さん:
「もうチーンってなってた時も、この光があるからこの光に向かって行きたいから、もう1回頑張ってみようと思えた」
杉山さんから「夢を叶えたあとに経験した孤独や絶望との向き合い方」などの経験談を聞いたあと、ヨガの体験を通して自分と向き合う方法を学びます。
1期生:
「とにかく考えさせてくれる。頭を働かせないと何もできない感じでやっているのが全然中学とは違い、すごい疲れるけど、めっちゃ楽しい」
宮谷先生:
「この学校もまさに高校生を基盤に今治市民と交流をたくさんとって、今治市全体を盛り上げていく活気づけていく学校になっていけばいいなと思う」
今治で始まった新しい学びのカタチがどんなものを生み出していくのか注目です。