「露口はなくなったわけじゃない」“ハイボールの聖地”移設に マスターの妻・朝子さんの思いは
「ハイボールの聖地」と呼ばれ、2022年閉店した松山市の老舗バーが大阪のウイスキー蒸留所に再現されました。
お披露目に立ち会ったマスターの妻、露口朝子さん64年間の思い出があふれ出します。
11月1日、大阪にあるサントリー山崎蒸留所。
1923年、日本で初めて、本格的なモルトウイスキーの製造がはじまったこの場所にその人はいました。
サントリー担当者:
「あちらです」
朝子さん:
「うわぁ…本当」
露口朝子さん。
松山二番町で64年間多くのファンに愛された「サントリーバー露口」を、夫でマスターの貴雄さんと2人切り盛りしてきました。
朝子さん:
「感動よ。本当感動です。本当お店に戻ってきたようで」
サントリー担当者:
「そういっていただけると嬉しいです」
朝子さん:
「そっくりにね、していただいて」
長さ6メートルある一枚板のバーカウンター。並べられたイス、グラスやボトル。バーカウンターだけでなく、装飾類まで忠実に再現された「ハイボールの聖地」がそこにありました。
2023年4月、洋酒文化の発展に貢献し、多くの人に愛された店を残したいと、サントリーホールディングスは、店の一部を山崎蒸留所に移設することを決めました。
しかし、2023年9月、貴雄さんは移設の完了を待つことなく、86歳で亡くなりました。
それから1か月余り。お披露目された施設に朝子さんは…
朝子さん:
「そっくりに本当。お父さん良かったねぇ。夢にまで思っとったからねぇ」
この日、サントリーの鳥井信宏社長も姿を見せました。
鳥井社長:
「宝物は必ず守り通しますので、何度も遊びに来てください。それでは…きょうは、献杯をしましょう。献杯」
マスター・貴雄さんに捧げられたのは、貴雄さんが監修したこだわりの「角ハイボール缶“濃いめ”」でした。
朝子さん
「私もうホント、ここで寝て帰りたいぐらい。(貴雄さんが)ふっと現れるような感じ。長年二人で過ごしてきたカウンターだから。露口はなくなってない。なくなったわけじゃないのよって。お客さんのファンの人たちにもお伝えできるし。喜んでいただけると思う」
サントリーホールディングスでは今後、再現されたバー露口の一般への公開を検討しているということです。