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いつまでも残したいふるさとの景色「宇和島百景」写真に込める撮影者の思い

2024年11月13日 17:00
いつまでも残したいふるさとの景色「宇和島百景」写真に込める撮影者の思い

今月、ある写真展が宇和島市で開かれました。残したいふるさとの景色。写真に込めた撮影者の思いに迫ります。

迫力ある闘牛や牛鬼。アコヤ貝と真珠。そしてミカン。宇和島の伝統文化や、地域の産業、そして、そこに生きる人々を記録したデジタル写真集、「宇和島百景」です。

宇和島市市長公室 杉本凜果さん:
「魅力的な写真をインスタグラムで募集して、選ばれた作品を『宇和島百景』として認定するプロジェクトです。#宇和島百景 #広報うわじまと、宇和島百景公式アカウントをタグ付けして、投稿した写真が認定の対象になります。認定された作品は、公式インスタグラムや市のHPで紹介しています」

その被写体は、実に様々。長年人々に親しまれていた、朝だけ限定営業のうどん店は、4年前、66年の歴史に幕を下ろしました。

そして津島町伝統の魔除けの「大わらじ」。いまでは過疎と高齢化によって、大きなわらじを作る風習が廃れつつあります。

いま記録して残しておかないと2度と見られなくなるという危機感。

杉本さん:
「人口が減少していく中で、宇和島の魅力ある風景、人々の物語というものを未来に残していきたいと思っている」

これまでに認定された写真は600点以上。手軽なSNSを活用したことで、多くの人が撮影した様々な写真が集まりました。

そして今月。市は、これまで選定された宇和島百景の作品をより多くの人に見てもらおうと、実際の会場に写真を展示する写真展を初めて開催することにしました。

ただし、写真は紙に印刷するのではなく…

杉本さん:
「これは、ちょっと透け感のある布です。正面から見ると向こう側が透けるんですけど、斜めから見ると、写真自体の色味が濃く見えたり。今回屋外で展示することになったので、風に風でなびいているところとか、アートっぽい写真の展示は、今まで宇和島市でのイベントでしたことがあまりなかった」

風に揺られる、宇和島の思い出…写真に込められたエピソードをたどってみました。

地域の伝統・家族への思い

「自分に男の子が産まれたら絶対、黒田の鯉のぼりをあげようと決めていました」

吉田町玉津地区。写真を撮影したのは、ミカン農家の河野雄哉さん(39)です。

河野さん:
「快斗これ(こいのぼり出して)。もうだいぶ、今年の風で、破れちゃって。直さないけんなと思いよる」

2男1女に恵まれた、河野さん。長男快斗くんの誕生を祝いこいのぼりを買いました。製造したのは、明治37年から続く市内の染物店です。

河野さん:
「宇和島で育って、こいのぼりと言えば黒田のこいのぼりやった。この地域だけでもかなり子どもも減っていて、現在、こいのぼりあげている家ってうちだけなんですけど。それを見た子どもたちが同じように、『河野さんとこのこいのぼりかっこよかったな。黒田ののぼり良かったな』みたいな気持ちを、どっかで繋いでいけたら。うちの子だけじゃなくて色んな子どもたちが、続けていけたらすごいいいなと思います」

家族の成長を見守る桜

「喧嘩するほど仲良しな2人は桜の下でテンションMAXでした!」

この写真を撮影した村山朱李さんです。愛用の一眼で3人の子どもの成長を記録しています。作品は、桜の名所で知られる丸山公園で撮りました。

村山さん:
「ちょうど桜がすごい咲いてて、きれいで。あの時は子ども2人で今3人です。写真って思い出に残るし、後から見返しても楽しいなって思うので、やっぱり撮って良かった。いい街だなと思ってもらえるような瞬間も残していきたい。四季折々色々撮りながら、大きくなるまでずっと撮り続けたいなと思います」

離れていても、心に浮かぶまち

海を背景にしたバス停。この写真が撮られたのは…宇和島市と旧吉田町を結ぶ知永峠です。国道56号沿いに、そのバス停はあります。

撮影したのは茨城県在住の会社員、牧野慎介さんです。牧野さんは、中学から高校、そして社会人となった一時期、実家のある宇和島市吉田町知永で暮らしていました。

牧野さん:
「車で通るたびに日々変わるきれいな風景が、いつ見てもきれいなので、いつか写真におさめたいなと。人が写っていな風景だけを撮影するつもりだったんですけど、偶然(自転車に乗った)あの方が通られて。(宇和島百景に選ばれて)非常に光栄。そこまで狙って撮った写真でもないので、大きく引き伸ばされて展示をされ、非常に嬉しい思いが正直なところです。昔から変わらない風景もたくさんありますし、今の形の宇和島市良いところがまた引き続き残っていけばいいなと思っています」

一見、どこにでもありそうな風景…その奥には、ふるさと宇和島の日常と暮らしが詰まっています。

大阪在住の女子学生(宇和島出身):
「宇和島のことは、ずっと覚えてたいなというので、写真に残っているのがすごく嬉しいです。就職先は東京になっているんですけど、宇和島にも頻繁に帰ってきたいなと思っています」

女子学生の祖母:
「宇和島をそういう風に思ってくれていることが、すごく嬉しいです」

この日はこいのぼりの写真を撮影した河野さんも、会場を訪れていました。

河野さん:
「どれか分かった?ななみちゃん、父ちゃんが撮ったやつ。すごいね、きれい」

河野さんの長男・快斗さん(小学5年):
「(将来)こいのぼりを飾ったりしたいです」

河野さん:
「色んな人に見てもらうことで『宇和島ってどんなとこ?』って興味持ってもらうことがすごい大事だと思う。それでいろんな人が移住してくれたり興味持って足を運んでもろたりして、宇和島が活性化してもらえたら。子どもたちも自分が将来大きくなったら、インスタ始めて宇和島百景に写真投稿でもしてもらったらなと思います」

最終更新日:2024年11月13日 17:00