松山城土砂崩れは「緊急車両道路が斜面変形に影響与えた可能性ある」と結論…発生から半年後の“最終報告”に被災者は
発生から半年。去年7月に松山城の城山で発生した土砂崩れの発生メカニズムの最終報告がまとまりました。現場上部にある「緊急車両道路」については、「斜面変形に影響を与えた可能性がある」と結論づけています。
去年7月、松山城の城山で発生した土砂崩れでは、麓の住宅街に土砂がなだれ込み住民3人が犠牲に。
県は発災後、国や市、愛媛大学の専門家らと発生メカニズムを解明する「技術検討委員会」を立ち上げ、これまで学術的な分析を重ねてきました。
そしてきょう、5回目の会合で、最終報告が取りまとめられました。
事務局(県担当者):
「大きなプロセスとしましては、①斜面変形(クリープ的変形)②土砂流出(斜面崩壊)、③土砂流下の過程を経て発生したと推定しています」
最終報告では、「降雨」が土砂崩れの前提ともいえる「①斜面変形」を数年かけて引き起こしたとしつつも
その背景として
・江戸時代以降の軟弱な「捨土」
・巨木をはじめとする「樹木の生長」
・松山市が整備した「緊急車両用道路」の擁壁や、盛土の「荷重」などがあるとしています。
その上で「緊急車両用道路」については、当日の②土砂流出の「起点となるような直接の影響を与えた可能性は低い」とする一方、試算などの結果からも土砂崩れの前提ともいえる「斜面変形に影響を与えた可能性がある」結論付けました。
技術検討委員会 森脇亮委員長:
「似たような条件のもとでは、同じようなことが起こり得ることを県民の皆様にしっかりと把握していただいて、危険が近づくような大雨が降ったような時には、できるだけ早めに避難することを徹底していただいて、ご協力いただきたい」
この結果を受け、中村知事は。
「松山市に対してはこれまでも繰り返し提案してきましたが、緊急車両用道路の設計・施工等の妥当性の検証。そして一刻も早く住民説明会を開催する。これらを依頼してますけど、ぜひ地域住民に寄り添った対応をお願いしたい」
一方、松山市は緊急車両用道路の設計・管理の妥当性について調査を行うかどうか、「専門家の意見を聞きながら判断したい」としています。
発生から半年を経てまとめられた、最終報告。
被災者の一人で、現場近くのマンションに住む、矢田共行さんは。
Q.最終報告を受けた心境は?
矢田さん:
「少しずつ話は進歩していきよると思う。100%の真相というのは難しいと思うが、また崩れたらいけないという状況が松山市内には何か所もあると思うのでもう少し熱心に市民のために、再発防止のためにどうすればよいかということを 考えてもらいたい」
去年10月、土砂崩れで休業していた日本料理店を再開した竹田利宣さん。
竹田さん:
「(緊急車両用道路を)作るにあたって今、上に盛り土をしたとか(書いてあるが)それに耐えるだけのものを設計していたのか?行政の一番大事なところは市民の安全や生命を守ること、財産を守ることであったりするので、今後の安全性のためにももっと詳しいかみ砕いた言い方や分かるような解説をしていただきたいし、そのような調査をしていただきたい」
松山市の野志市長はきょうの最終報告を受け、コメントを発表し、住民向け説明会について「市として準備が整い次第私も出席して開催したい」としています。