「明暗分かれる年になる」政財界トップに聞く2024年 愛媛県年賀交歓会
1月4日、新年恒例の年賀交歓会が松山市の県民文化会館で開催されました。
式の冒頭には能登半島地震の犠牲者へ黙とうが捧げられ、当初予定していた鏡開きは中止になりました。
未だかつてない幕開けとなった2024年。
出席した政財界のトップに新年を迎えての決意と展望を聞きました。
“新しい経営の時代” 髙橋祐二会頭
県内企業のビジネスや経営の支援などを行う「愛媛県商工会連合会」の髙橋祐二会頭。
開口一番「明るい年になってもらうことを期待している」と語る一方で、「アフターコロナで明るい兆しも見えるが、人手不足や人口減少など様々な経営的な課題がある。こういうことを克服して新しい時代に対応しないといけない」として、企業ごとの変革に期待を寄せました。
「社会も従業員も考え方、働き方、価値観が変わってきている。これらを踏まえて、生産性を高めるほかダイバーシティに挑戦するなど、新しい経営の仕方の時代に対応しないと取り残されてしまう」と危機感もにじませました。
“信なくば立たず”井原巧衆議院議員
自民党・安倍派(清和政策研究会)に所属し、県連会長を務める井原巧衆議院議員。
派閥のパーティー券問題以来初めてインタビューに応じた井原氏は、「年末から政治不信を抱くような自民党や派閥の問題が出てきている。私も党の一員であり、信頼回復に努めたい」として、検察の捜査に協力しつつ推移を見守ると話しました。
収支報告について「私自身は精査をして心配ないとは思ってます」としながら、「これは党本部だけの問題ではなく県連も含めて政治家は様々な法律の中で政治活動をしており、『信なくば立たず』と思っている。国を発展させるためにも、国民生活を豊かにするためにも、まずは信を立てるように努力することが重要」と語りました。
2024年については政治不信の払拭とともに「何といってもインフレの中で賃金を上げて安心した暮らしができる経済を作ることが今の一丁目一番地」と掲げ、「一意専心取り組んでいきたい」と決意を述べました。
“明暗が二極化する”服部正会長
県内の中小企業の支援を担う「県中小企業団体中央会」の会長で、大富士製紙の服部正社長。
2024年は「大企業と中小企業の二極化だけでなく、中小企業の中でも明暗が二極化する年になる」と前置きした上で、「中小企業にとっては先が読めない時代に入っている。特に円安の影響がどう出るかが私たちには問題になるだろう。原油を含めた物価高も厳しいし、為替もどう動くか注視したい」と語りました。
服部会長が最も懸念するのは、政府が企業に呼びかけている“賃上げ”の継続。物価が高止まりする中、一部の大企業などはすでに今春の賃上げを発表している。
「政府が言うような賃上げは大企業は良いけど、中小企業はそれに沿えるかどうか危惧している。中小企業の中にもDXや生産性向上など、今までと違うビジネスモデルが展開できる中小企業については賃上げも期待が持てる。ただ、これまでと同じような事業しかできない中小企業は大変厳しくなる。経営や事業を見直さないと、賃上げも含めて明暗が二極化する年になると思う」(服部氏)
“今年はステップの年に”中村時広知事
「能登の被災地では懸命な救出作業が続いている。お見舞いを申し上げます」
中村知事は、義援金の受付準備とともに要請があった時に備えて県庁職員の応援体制の構築を急いでいると話しました。
「西日本豪雨の時に他県からの応援が本当に力になった。今はそれを返す時だと思うので、(職員の応援派遣で)もし県庁の仕事に多少支障がでたとしても県民の皆様にはご理解いただけると思う。精一杯支援をしていきたい」(中村知事)
2024年を「今年はホップ、ステップ、ジャンプの『ステップの年』」と位置付ける中村知事は、「選挙でお約束した公約、地域づくりビジョンを実現することが最大の使命。これを実行に移す」と述べました。
「人口減少など社会の変動要因を受けて、課題を先送りせずに組織力で県職員全員でまい進していきたい。今年は県庁の組織力が発揮できるかどうかが重要になってくる」として職員とともに、自らが掲げた100の公約を実現に移すことを誓っていました。