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今年最も事故が多かった場所は?愛媛県内で発生した交通事故の傾向と事故防止のヒント

2023年12月7日 18:30
今年最も事故が多かった場所は?愛媛県内で発生した交通事故の傾向と事故防止のヒント

えひめの1年を振り返る「2023えひめ総決算」。きょうは「交通事故を考える」。今年、県内で発生した交通事故の傾向を振り返ります。今年、11月末までに県内で発生した人身事故は1930件。去年の同じ時期と比べると18件増加し、35人が亡くなっています。

今年の県内の交通事故を見ていくと、何に気を付けるべきなのかヒントが見えてきました。

ヘルメット着用の努力義務化で着用率78.3%にアップ↑ 課題は‟大人の着用”

今年4月。道路交通法の改正によって、あの身近な乗り物のルールが大きく変わりました。

警察官:
「自分の命を守るためにヘルメット、よろしくお願いします。気を付けて運転してください」

自転車のヘルメット着用が‟努力義務”になったのです。

県警 交通企画課 塩見浩二交通事故分析官:
「強制はないですし、罰金等の不利益もないですが、事故の時の被害を少しでも軽減するためにヘルメットを被るように努めていただいたらと思う」

これまでヘルメット着用の努力義務は13歳未満の子供が対象でしたが、自転車を運転するすべての人が対象に。

県内で「ヘルメット着用」促進に向けた取り組みが加速しました。

銀行では、入行したばかりの行員にヘルメットの重要性を伝える講話を実施。

愛媛銀行 新入行員 近藤結香さん:
「これから毎日自転車通勤になるので、ヘルメットを正しく 着用して自分の身を守ることが 大切だなと改めて感じました」

今治市の総合建設会社では…

重松建設 重松和希営業部長:
「ヘルメット義務化っていう自主的なとこなんですけど、その自主性を促進するために、ヘルメット全額出すよと」

自転車通勤で使うヘルメットの購入費全額を会社が負担することに。

重松さん:
「会社的にも健康で働いてくれてるほうが会社の売り上げにも直結するので。長い付き合いを考えたら目先の自転車代くらいは出したらいいんじゃないかというのが社長の考えです」

男性社員:
「着用しだすとほんとに当たり前になってきますので、きっかけが補助という形にせよ、 定着率としてはいいんじゃないかという気がする」

今年10月、県などが行った調査によると、ヘルメットの着用率は全体で78.3%。努力義務化前だった1年前と比べ、4ポイントほどアップしました。

しかし、世代別では…「高校生」は97.7%、「中学生」は100%と高い着用率であるのに対し、「成人」は43.6%。

男性:
「これが罰則ありやったら迷わずつけるんですけども、努力義務なんでどっちでもいいのかなと、自分の中で思っちゃってつけない方向になってます」

‟大人のヘルメット着用”が課題です。

自転車死亡事故の半数は頭部に致命傷…ヘルメット未着用で致死率は3倍

こちらは今年10月、「ヘルメットの重要性を伝えたい」と視聴者から寄せられたドライブレコーダーの映像です。

左前方に見えてきた、歩道を走る自転車。と…その時!自転車が転倒。運転者が自転車ごと車道に飛び出てきました。転倒の衝撃で、自転車の運転者の体の右側は勢いよく地面に叩きつけられています。

映像提供者によると、自転車に乗っていた男性は脚にケガをしていたものの意識はあり、「わき見をしていた」と話したということです。

映像提供者:
「(自分は)ヘルメットせずに通勤してるんですけど、今後ヘルメットの着用を考えて通勤したいなと思ってます」

過去5年間に県内で発生した自転車の死亡事故では、およそ半数が頭部に致命傷を負っていて、ヘルメットを着用していない場合の致死率は、着用していた場合の3倍高いことが分かっています。

最も事故が多かったのは「交差点」 危険箇所を定点観測してみると…

一方、去年と変わらない傾向だったのは…最も多く事故が発生した“場所”。それは…交差点です。

視聴者からも「危ない!」という声が多く寄せられました。

投稿者 :
『通勤途中、自転車が赤信号にも関わらず交差点に進入してくる。大きく広がって勢いよく曲がってくるので、接触寸前となり、急ブレーキをかけたことも』

現場は県道334号、信号機がある三叉路の交差点。

画面奥に向かって車で直進していると、赤信号であるはずの左側から自転車が合流してきて接触しそうになるとのこと。

様子を確認してみると、左側から県道に合流するほとんどの自転車が、目の前の車両用の信号が赤の場合でも交差点に進入しています。

この行為、‟信号無視”にあたらないのか?

道路交通法によると、走る場所によって異なります。

この道は、歩道がないため白線の外側・赤色の部分が「路側帯」で、自転車は、歩行者の通行を著しく妨げる場合を除いて通行することができます。

この「路側帯」を走行する場合は、目の前の車両用の信号に従う義務はありません。

一方、白線の内側・車道を通行する場合は、車両用信号に従わなければなりません。

ただ、法律上は信号無視に当たらないとしても「自転車は車の仲間」。周囲の状況に応じた安全確認をしっかりして利用する必要があります。

続いて、松山市天山交差点近くの国道33号と脇道が交わる交差点。

投稿者:
「通勤で毎日通るんですが、向こうから来ていたら、明らかにこっち(左側)見てないなって分かるんで危ないなっていうのはあります」

脇道から国道に合流する車が一時停止せず、歩道の歩行者や自転車と接触しそうになり危険だ、とのこと。

平日の朝、1時間定点観測してみると…脇道から出てきた142台のうち停止線の手前で完全に一時停止した車は、わずか19台。中には、一度も止まることなく国道に合流する車も見られました。

今年、県内の交差点で起こった車同士の事故では、「出会い頭の事故」が全体の65%と、去年より3ポイントほど増加しています。

道路横断中の死亡事故が減少 「信号機のない横断歩道での車の停止率」は過去最高に

そして、去年と比べて右肩下がりになったのは…?

道路横断中に車にはねられて亡くなった歩行者の人数です。先月末までの死者数は9人と、去年の同じ時期と比べて4割減少しました。

愛媛県警では、信号のない横断歩道での交通事故を減らそうと、去年から「大人も手を上げよう運動」を展開。

信号のない横断歩道を渡りたい時、歩行者に少しでも手を上げて「渡る意思」を伝えてもらおうという取り組みで、今年は新たに運送会社やスーパーなど602か所を「手上げ横断モデル事業所」に認定。「手上げ横断」を推進しています。

こうした啓発の効果もあってか、毎年JAFが全国で調査する「信号機のない横断歩道での車の停止率」。愛媛は5年連続で上昇。今年、過去最高の58.5%となりました。

5年前の9.9%と比べおよそ6倍と、大きくアップしましたが、横断歩道上の事故はゼロになっていません。

交通事故が1件でも減りますように。CH.4では来年も、交通事故を考えます。