コメの取引価格が過去最高値 止まらぬ価格高騰で…給食現場や農家から不安の声
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きょうのニュースな数字はこちら。2万5927円。きのう農林水産省が発表した、コメの出荷業者と卸売業者などの間で取引する際の価格「相対取引価格」です。1990年以降の単月で過去最高値となりました。止まらぬ価格高騰に、愛媛県内の教育現場、そして生産者にも影響が出始めています。
ランチタイムを迎えた松山市の東雲小学校。きょうは「愛媛FC応援給食」と題して、児童が考えた“愛媛FC応援メニュー”が提供されました。その名も「EFC栄養たっぷり揚げ」。チーム名の「EFC」にちなみ、ビタミンE、鉄分、カルシウム、3つの栄養素を含む食材が使われています。
考案者 河野風仁くん:
「揚げ物が好きなのでその中に栄養たっぷりな食材が 入っていたら面白いかなと。(給食を食べると)昼休みとかもたくさん遊べて午後からも元気になる」
子どもたちにとって給食はエネルギーをチャージするための大切な時間。
中でも…
児童:
「普通の白米が一番」
児童:
「ご飯の給食が美味しい。パンとご飯やったらご飯」
主食のコメは人気です。
東雲小学校 栄養教諭 島津里栄さん:
「コメに関しては物価高の影響を受けて値上りがここ数年ありまして、その点はやっぱり苦労している」
松山市によると、去年4月に10キロあたり3163円だったコメの価格は、きょうの時点で588円高い3751円に値上がり。献立を考える島津さんも不安があるといいます。
島津さん:
「週3~4日、ご飯の献立なので給食費もしんどくなっておかずに影響が出たら困るなというのはある」
さらにきのう、農林水産省はコメの取引価格が2万5927円と、過去最高値となったことを発表しました。
島津さん:
「今後それが影響して、だんだん値段が上がるというのはこちらとしても危惧しているところ。子どもたちの成長のためにも(コメ)の量は減らしたくないなというところではあるので、できるだけコストを抑えたものとかにして行けたらなと」
不安の声は、愛媛を代表する米どころでも。
米農家 河野昌博さん:
「まったく倉庫の中に米が無いんですよ。普通だったら春、夏近くまでJAひがしうわもめっちゃ持っていたじゃないですか。その米が無いってなったら、この地域の小売店めっちゃ困りますもんね絶対」
西予市宇和町の米生産農家、河野昌博さんです。
河野さん:
「米の価格が上がるということは、僕ら農家側からしたらいいことではあったんですよ。最初はいいことだと思っていたんですけど、それが、ここまで上がるということは、農家側としてもまったく想像してないし、驚きでしかない。この価格帯は」
米の個人販売を行っている河野さん。元々、市場価格より価格を下げていましたが、米不足による市場価格の高騰が続いた結果、今年に入って新規の問い合わせが殺到したといいます。携帯電話には東京からの問い合わせも…
河野さん:
「『お米が余っていますか』『売ってもらうお米はありますか』という電話が多くて。一部、業者の方もおられて、県内だと『鯛めしのご飯が無い。でも鯛めしは大事だからそこには納品しないといけない。何とかなりませんか?』というお知らせもあるんですけど『まったく何もできません』という。でも、出したいんですけどね」
増え続ける注文で、現時点での米の在庫量は、平年と比べて6トン少ない9トンにまで減っているといいます。
河野さん:
「通常1月に予定している出荷量の2倍とか、それ以上の出荷量を出してしまったので、 それを続けていくと当然、夏まで米がもたない。飲食店なども『夏、米がないから休業します』ということは絶対できないので、そういうところに、何としても在庫を確保しておくことが一番大事」
先月下旬、河野さんはやむなく、新規の受注をストップしました。
河野さん:
「金額すみません。高くなって申し訳ないです」
今月中旬から販売価格の値上げに踏み切った河野さん。
河野さん:
「値上げのお知らせの伝票を作りました」
これまで30キロあたり1万1000円だった小売価格を今月中旬からは1万7000円に引き上げました。
河野さん:
「結局1年に1回しか米がとれないので、在庫量が少なくなってしまうと、 どうしても(販売価格を)上げないといけない。米を商品じゃなくてマネーゲームとして見られている感じ」
馴染みのお客さん:
「(値上げは)しょうがないかな」
河野さん:
「ありがたいですよね。理解もしてくれるので」
いまは、今後予定されている政府の備蓄米放出に期待を寄せています。
河野さん:
「(販売価格をこれ以上)上げたくないので、できれば備蓄米がうまく放出されて、それによって市場が少し落ち着けばありがたいと思います。米が無くなるというは消費者にとって一番よくないことなので、安定した価格が大事だと思います」