伊方原発3号機の運転差し止め訴訟「具体的危険が生じているということはできない」被爆者らの訴え棄却 広島地裁
広島県の被爆者らが四国電力に対し、伊方原発3号機の運転差し止めを求めていた裁判で、広島地裁は住民の訴えを棄却しました。
この裁判は、広島と長崎の被爆者など337人が、伊方原発3号機の運転差し止めを求め提訴していたものです。
住民側はこれまで、四国電力の地震や阿蘇山の噴火などに対する評価は過少などとして福島第一原発事故を受け国が制定した「新規制基準の適合性審査をパスしたからと言って安全性が保障されたとは到底言えない」と主張。
「伊方原発で過酷事故が発生する可能性は高く、生命や身体などに重大かつ深刻な被害が発生することは明らか」として運転の差し止めを求めていました。
これに対し、四国電力は「新規制基準は適正な手続きを経て制定されたものであり、現在の科学技術水準を踏まえた合理的なもの」などと主張し、訴えを退けるよう求めていました。
きょうの判決で広島地裁の大浜寿美裁判長は、四国電力が主張する新規制基準の合理性を認めた上で、「住民側の生命、身体などを侵害する具体的危険が生じているとはいえない」として、住民の訴えを棄却しました。
四国電力 原子力本部 原子力部 佐々木広行副部長:
「私共の主張を裁判所にご理解いただけた判決かというふうに受け止めております。さらなる安全性の向上に努め引き続き伊方発電所の安全・安定運転を継続してまいりたい」
原告団 堀江壯団長:
「放射線の被害を身をもって知っているものとして、原発も原爆も一日も早く、日本のみならず世界中からやめるべき。決してここで諦めるわけにはいきません」
住民側は判決を不服として、控訴する方針です。
伊方原発3号機の運転差し止めの集団訴訟は松山などでも行われていて、松山地裁の判決は今月18日に言い渡されます。