伊方原発の運転差し止め訴訟 大分地裁が住民の訴えを棄却 集団訴訟で初の判決
福島第一原発事故から間もなく13年。
大分県の住民が対岸にある伊方原発3号機の運転差し止めを求めていた裁判で、大分地裁はきょうの判決で住民の訴えを棄却しました。
この裁判は、2016年に大分県の住民569人が伊方原発3号機の運転差し止めを求め提訴していたものです。
同様の裁判は松山や広島などでも係争中で、一連の集団訴訟での判決は今回が初めてということで、大分地裁での判断が注目されていました。
地震と火山の噴火への安全性が争点となった今回の裁判。
地震について、住民側はこれまで、四国電力の活断層の調査が不十分であることや「地下の地質構造を三次元的に把握する調査が必要であり、原子力規制委員会の新規制基準にも違反する」などと主張してきました。
これに対し四国電力は「ボーリング調査などの総合的な評価で地下構造は把握できていて、原子力規制委員会の新規制基準に照らしても三次元探査は不要」と主張。
「海上音波探査などの結果、敷地近くに活断層はない」などと反論していました。
また火山については、阿蘇山が噴火した場合の規模について争われていました。
きょうの判決で、大分地裁の武智舞子裁判長は四国電力のボーリング調査などから地下構造を評価していることに不合理な点は認められないと、四国電力の主張を認め、「原告らの生命等に重大な侵害が生じる具体的危険があるとは認められない」として住民の訴えを棄却しました。
四国電力 原子力本部 池尻久夫原子力部副部長:
「妥当な判決をいただけたと考えている。引き続き、伊方発電所3号機、安全には十分注意して、安全最優先で運転の方継続してまいりたいと思っている」
弁護団代表 德田靖之弁護士:
「私どもが想定した中で最低の想定でした。私たちの命、家族、そして故郷を守りぬくためにこの戦いをやめるわけにはいかない。この不当判決に対しては直ちに控訴して徹底的に戦い続ける」」
住民側はこの判決を不服として控訴する方針です。
大分地裁での判決を受け松山地裁で同様の訴えを起こしている伊方原発を止める会と弁護団は…
伊方原発を止める弁護団 中川創太事務局長:
「我々の裁判の立証だとか主張と、その全部を否定するものではなくて、一部重なる部分があるのは事実だが、大部分は重ならない判断。今回のことで一喜一憂することなく、結審に向けての努力を淡々とやっていく」
伊方原発の運転差し止めを求める松山地裁での裁判は、6月に結審する予定です。