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【裁判詳報】小西優花被告と内田梨瑚被告の関係性は「舎弟」凄惨な犯行明らかに 弁護側は「従属的な関与」 旭川高校生殺人

2025年3月2日 8:31
【裁判詳報】小西優花被告と内田梨瑚被告の関係性は「舎弟」凄惨な犯行明らかに 弁護側は「従属的な関与」 旭川高校生殺人

北海道旭川市で2024年4月、17歳の女子高校生が橋から落とされ殺害された事件で、殺人などの罪で起訴された当時19歳だった女の初公判が、2025年2月27日に開かれました。

殺人などの罪に問われているのは、当時19歳だった小西優花被告(20)です。

起訴状などによりますと、小西被告は2024年4月、旭川市神居町神居古潭で、留萌市の女子高校生(当時17)を橋の欄干に座らせて川に転落させ、殺害したなどの罪に問われています。

冒頭陳述で検察側は、小西被告は、ともに殺人などの罪で起訴されている内田梨瑚被告に「恩義を感じ仲間意識を持っていた」、犯行において「中核的に実行し、内田被告と同等の役割を主体的に果たした」と主張しました。

検察の主張は以下の通りです。

被害者に示談金要求の内田被告に対し「足りますか?50万で」

【内田被告との関係性】

▼小西被告は内田被告と数年前に知り合い、2024年に偶然再会して親しくなった。

▼2024年4月16日ごろから内田被告の「舎弟」になり、荷物持ちや買い物をしていた。

▼元交際相手とのトラブルの仲裁などをした内田被告に恩義を感じて慕っていた。

▼小西被告は被害者の女子高校生(当時17)と面識なし。


【犯行に至る経緯】

▼2024年4月18日午後8時31分~、被害者が内田被告が写った画像を内田被告の許可を得ずにSNSに投稿。

▼被害者は内田被告の要求に従って電話をかけ謝罪。

▼内田被告は被害者に対し、示談金名目で50万円を要求。

▼同日午後9時28分~、内田被告は小西被告に「50万つませるわ」とメッセージを送る。小西被告は「足りますか?50万で」と内田被告に返信。


被害者がコンビニで「助けてください」…馬乗りになって暴行

【監禁の犯行状況(コンビニ到着まで)】

▼同日午後11時37分~、内田被告と少年(当時16)が「道の駅るもい」で被害者を発見。内田被告は被害者に「お前黙って乗ってろよ。バッタバタ(暴力を振るってボコボコにする意味)にしてやるから」と言い、車の助手席に乗せて旭川方面へ移動、監禁開始。

▼内田被告は被害者の携帯電話を取り上げ、車内から逃げようとしたのを暴行を加えて阻止。

▼内田被告は小西被告に対し、被害者を旭川まで連行する旨を伝え、口止めに使う誓約書の作成を指示。

▼4月19日午前0時15分~、小西被告は「契約書 書類 書き方 謝罪」で検索。手書きで誓約書を作成し、その後、内田被告らと合流。

▼小西被告は被害者に対し、無断で画像を使用したことなどを厳しい口調で責め立てた。


【監禁の犯行状況(コンビニ到着後)】

▼同日午前3時7分~、小西被告はトイレに行きたがった被害者の手をつかんでコンビニに入店。

▼被害者はトイレから出て、カウンターにいた従業員に「すいません、助けてください、通報してください」と助けを求める。

▼小西被告は走って出入口まで移動、被害者の逃げ道をふさぎ、カウンターにしがみついていた被害者を店外に引きずり出そうとした。

▼内田被告は、被害者のQRコード決済サービスでタバコなどを購入し、従業員にうその説明をして口止め。

▼小西被告と内田被告は、必死に抵抗していた被害者を無理やり店外に引きずり出した。

▼小西被告は被害者を店舗裏手まで引きずって連行し、馬乗りになって顔面を複数回殴打。

▼同日午前3時29分、小西被告と内田被告は被害者を神居古潭まで連行し監禁終了。

被害者の衣服などを投棄…「死ねや」何度も怒鳴る

【殺人・不同意わいせつ致死の犯行状況】

▼同日午前3時29分~、小西被告と内田被告は被害者を車内で全裸にさせた。神居古潭の気温は6℃に満たず雨が降っていた。

▼小西被告と内田被告は、被害者が脱いだ衣服や靴を全て神居古潭の草むらに投棄。

▼小西被告は被害者に対し、地面に土下座して謝罪させ、これを動画撮影したあと、神居大橋へ連行。

▼内田被告と少年(当時16)がビデオ通話を開始。

▼小西被告は被害者に対し、神居大橋で馬乗りになって顔面を拳で複数回殴打、両手で首絞め。内田被告もビデオ通話しながら、被害者の腰を蹴るなどの暴行。

▼同日午前3時41分~、小西被告と内田被告は、被害者を橋の欄干に座らせ、再び謝罪させた。内田被告は被害者が謝罪している状況を動画撮影。小西被告は被害者の両ひざを持ち上げて橋から落下させる素振り。(被害者が欄干から床板上に飛び降りたため、橋から落下せず)

▼小西被告と内田被告は、被害者に対し殺意をもって、再度欄干上に座らせ、「落ちろ」「死ねや」などと何度も怒鳴るなどして、被害者を神居大橋から石狩川に落下させた。


【犯行後の証拠隠滅行為など】

▼同日午前3時48分~、小西被告と内田被告は神居古潭の駐車帯にとめた車まで戻り、被害者の携帯電話のデータを削除し、車でひいて損壊、旭川市街地を流れる川に投棄。

▼小西被告と内田被告は被害者に関するメッセージを削除し、別々の場所にいるかのように装う内容のメッセージを送り合う。被害者を殺害したことを警察に話さない旨の口裏合わせ。

▼小西被告と内田被告は、被害者が神居大橋から落下したことについて、一切通報せず。

「日常的に顔色を見ながら行動」弁護側の主張

一方、弁護側は「大半は内田被告の意に沿うように行動していた」「積極的ではなく、従属的な関与だった」と情状酌量を求めました。

弁護側の主張は以下の通りです。

▼客観的事実はすべて認める。共謀の成立や各犯罪の故意も認める。ただ、積極的ではなく従属的な関与だった。

▼結果の重大性を認識して生涯罪を償っていく覚悟だ。

▼他の人との関係は検察の説明通りで、内田の「舎弟」と呼ばれる関係だった。

▼小西被告は2024年4月に仕事をやめて、SNSに「仕事ありませんか」と載せたところ、内田被告から「りこの舎弟」というコメントがあり「内田さんの舎弟ならなってもいいかな」と返信した。でも、女なのになんで弟という字が入っているんだろうと思っていたぐらいだった。

▼小西被告は内田被告に対し、恐怖心があって、理不尽な行動を押しつけられたりした。なので日常的に顔色を見ながら行動していた。

▼小西被告は従属的な立場で各場面、大半は内田被告の指示、意に添うように行動していて、主犯とは負うべき刑の重さにおのずと差が出る。

▼罪を認め遺族と謝罪の気持ちを持ち続けている。

▼まだ若年で更生できる。実名報道で社会的制裁を受けている。

【犯行について】

▼内田被告が映った画像データの件で、内田被告が怒ったことに関して小西被告は関与していない。

▼小西被告は内田被告の指示で誓約書を用意した。小西被告は内田被告が迎えにきた時に内田被告が怒っていたことはわかったが、被害者がかなりの暴行を受けていたことはわからなかった。

▼小西被告は被害者を「大人しい子だな」と思っていた。

▼(コンビニで小西被告が、被害者が逃げないように)手をつないだのは内田被告に指示されたからだ。

▼小西被告は、被害者が逃げようとした時も、店のドアの前に呆然と立ち尽くしていた。

▼小西被告は、被害者が必死に助けを求めた時は怒りの気持ちが出た。でも殴ったのは平手で、拳ではない。「警察沙汰になって自分も捕まるかしれない」と思った。

▼小西被告は、内田被告がどこに行こうとしているかわからなかった。防犯カメラが現場にないことは、知らなかった。

▼服を脱ぐように命じたのは内田被告だが、目の前のことについていくのが精いっぱいだったので、止められなかった。

▼小西被告が服を脱がせて、服を付近の草むらに捨てたことなどから、故意があったことは認める。付近で殴ったのは平手、馬乗りで首を絞めたのも否定しない。

▼小西被告は被害者が転落した際、とっさにひっぱり上げようとした。

▼神居古潭から帰宅後、内田被告は「余裕。大丈夫だ。捜索願も何も出てない」と小西被告にメッセージを送る。小西被告は「了解です」と返信。


また、2月28日に開かれた2回目の裁判員裁判では、犯行当時、被告らが撮影していた動画が裁判員に公開され、女子高校生が全裸で橋の欄干に座り「嫌だ」などと叫ぶ様子が明らかになりました。

また、女子高校生の母親の「生きて返してほしい」「犯人には極刑を望みます」などといった心境を検察が読み上げました。

次の裁判は3月3日で、内田被告の証人尋問が予定されています。

最終更新日:2025年3月2日 8:32