【7回目裁判詳報②】事件は「精神症状が影響している」父親が娘の様子を証言 すすきの殺人事件
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札幌・すすきののホテルで2023年7月、頭部のない男性(当時62)の遺体が見つかった事件で、逮捕・起訴された親子3人のうち、殺人ほう助や死体損壊ほう助などの罪に問われている父親の田村修被告(61)の7回目の裁判が、2月4日に札幌地裁で開かれました。
裁判では午後から、修被告に対する弁護側の被告人質問が行われました。
冒頭、弁護側から「事件について遺族に対する思いは?」と問われると、修被告は「亡くなられた男性、家族、関係者をはじめ、多くの方々に取り返しのつかないご迷惑をおかけしたことを本当に申し訳なく思っています」と述べました。
弁護側から修被告への質問です。
淡々と「首拾った」事件後、瑠奈被告とのやりとり
◆起訴内容について
Q. 車で送迎したときに瑠奈被告に殺害の意思があると思っていたか?
A. 全く思っていませんでした。
Q. 2023年7月2日にすすきのから自宅に帰ってきてからの瑠奈被告とのやりとりを説明してください。
A. 直前に氷を買って家に着いて、本人はスーツケースを自分で車から降ろして、私が玄関のドアを開けたら瑠奈が中に入りました。私は氷を持って中に入って、瑠奈は着ていたものを脱いでからキャリーケースのファスナーを3分の1ぐらい開けて中から物を取り出して、2階に上がっていきました。上がっていくときに瑠奈から「首拾った」と淡々と言われて、背後からついてきてといった振る舞いだったので、氷を持ちながら後ろをついて行きました。
Q.「首拾った」と言われて何も聞いていない?
A. 聞いていないです。
Q. 自宅に着いた時点で瑠奈被告が頭部を持っていたかどうかは知らなかった?
A. はい。
Q. 頭部を持ってきたと認識した経緯は?
A. 7月3日の夕方ぐらいに報道で男性の頭部のない遺体と出ていたので、娘のおかしな行動には関連がありそうだと思うに至りました。
Q. 頭部を浴室に置くことについて瑠奈被告から「置いていいか」と聞かれたことは?
A. ありません。
Q. 修さんが「置いていいよ」と発言したことは?
A. ありません。
Q. 事件後に瑠奈被告が逮捕されるまでの間、男性を殺したとか、首を切断したとかの話は?
A. そのような話を娘から聞いたことはありません。
Q. 質問もしていない?
A. 私から質問はしていません。
Q. 何でそういう会話がないのか?
A. 普段から通常の親子関係の会話が成立しづらい。非常に非現実的なことを言うこともあったので、いちいち確認して問いただす習慣がいつの間にか、聞くことを諦めてしまったというか。否定も肯定もせず、かわしているのが基本。本人に聞かない、聞いたところで合理的な回答が返ってくるとは思っていなかったので聞かなかったです。
Q. 答えが返ってこないと思った?
A. 当時の推認ですが、目の前にいる本人がどうしたとも何も言っていないので、いろいろ聞くことで目の前の娘の精神症状が悪化するのも心配だったので、刺激的な質問をしないという気持ちもあったのかなと思います。
Q. 瑠奈被告から「(ホテルで)血を洗ってきた」などの具体的な話は?
A. 私の方にはそういう話はしていないです。
Q. 浩子被告からは?
A. 証拠によると、7月2日から翌日にかけてやりとりをしたのかもしれませんが、定かではないです。
Q. 検察は瑠奈被告が性的トラブルについての強い怒りで殺害したと主張しているが、修さんは怒りから起こした事件だと考えたことは?
A. ありません。
Q. 逮捕前には何で事件を起こしたと思っていた?
A. 少なくともこれが原因だと合理的に思うものがなかったので、精神症状が影響して起きていることではないかなと考えていました。
Q. 動機としては精神症状と考えている?
A. インタビューを本人にしていないのではっきりとしたことは言えませんが、10年以上も強固なゾンビ妄想がある。そして、生活をしているなかで今回は周り絡みで殺人を犯すような合理的なものもなく、損壊をする理由もよく分からないので、幻覚や妄想状態を基盤とした何かが起きているのではないかと推察しています。
Q. 瑠奈被告が事件について話していることで警察官や検事から聞いたことは?
A. ありません。
Q. 弁護人経由では?
A. 「首を拾っただけなのにどうして外に出られないのかな」的なことを言っていると。事件を起こしたこと自体は全く認識がないと聞いたことがあります。
10万円近くのドール購入 声を詰まらせ、娘に「生きていてほしいと」
◆瑠奈被告との親子関係
Q. 瑠奈被告と話すときは丁寧語?
A. 相手の状態によって使い分けています。
Q. 興奮していないときは?
A. くだけた言い方で話すときもあります。
Q. 興奮すると丁寧語になる?
A. はい。
Q. なぜ?
A. 興奮しているときは火に油を注がないように丁寧な口調にしています。
Q. 怖いと思ったことは?
A. ありません。
Q. 瑠奈被告が浩子被告や修被告に危害を加えるのではと事件後に思ったことは?
A. 一度もありません。
Q. 殺すとか傷つけることを感じたことは?
A. 今回の事件が起きる前も起きた後も、本人から人を殺したいという殺意のようなものを感じることはなかった。近くにいて殺されるような感覚を覚えたことはありません。
Q. 1体10万円近くのドール。合計1000万円は優に超えると思うが、買っていたのは奴隷だからか?
A.そうではありません。
Q. どういうわけか?
A. 2つありますが、1つはお気に入りのドールを眺めていると心が休まると。本人にとって生きていく1つの柱だと思っていました。もう1つはお気に入りのドールの顔をメイクのない状態で入手して自分でメイクすることにもハマっていましたけど、「早く死にたい。でもこのドールをきれいにするまでは死ねないな」と。ドールがいる限り娘は生きてくれる、生きていてほしいと思って購入していました。(※声を詰まらせながら証言)
Q. 瑠奈被告が人を傷つけたりする話を聞いたことは?
A. ございません。
Q. 学校の先生や他人からは?
A. ございません。
Q. 瑠奈被告が同級生に馬乗りになってカッターを突き付けたという報道があったが、このようなことを聞いたことは?
A. ございません。
起訴状によりますと、父親の修被告は2023年、犯行に使われたのこぎりやキャリーケースなどを購入し、娘の瑠奈被告(30)に提供。
瑠奈被告を事件当日に車で送迎したほか、瑠奈被告が殺害し、自宅に持ち帰った男性の頭部を損壊する様子をビデオで撮影するなどした罪に問われています。
修被告は初公判で「娘の犯行を知ったのは事件があった後」などと起訴内容を否認し、無罪を主張しています。