運転手はなぜ降りたのか?路面電車が交差点に進入 調査へ
札幌市の路面電車が、運転手が乗っていない状態で赤信号の交差点に進入し、国土交通省は「重大インシデント」に認定しました。
なぜ運転手は電車を降りたのか。
当時の様子が明らかになってきました。
「重大インシデント」に認定した国土交通省は13日午後、調査官を派遣。
車両の周辺を詳しく調査する姿が見られました。
12日午前6時すぎ、中島公園通停留場にとまっていた路面電車が、運転手が乗っていない状態で赤信号の交差点に進入しました。
電車の運行会社によりますと、運転手は「中島公園通停留場」から3つ手前の停留場近くで線路上に障害物を発見。
電車から降り、障害物を撤去したあと、電車内の無線で運転管理室に報告したところ、詳細な報告を停留場に設置している電話からするよう求められ、電車を降りたということです。
運転手が乗っていない電車はゆっくりと動き出し、20メートルほど進んで赤信号の交差点に入りました。
気付いた運転手が電車を追いかけて飛び乗り、停止させたということです。
当時、電車にはおよそ30人の乗客が乗っていました。
一歩間違えば、あわやー
(運輸安全委員会 吉田孝志調査官)「無線で意思疎通が図れなかったということで、電話で連絡をするということになったと聞いております。お客さんが中にいる状態で(運転手が)降りることは往々にしてあると思います」
この電車のブレーキは、ハンドルレバーがこの位置にある場合、ブレーキがかかった状態になります。
しかし、当時はレバーの位置がずれていて、運転手が車両の外に出ようとした際に体が当たり、ブレーキが緩んだ可能性があるとみられます。
専門家は、ハンドルレバーの扱いに問題があった可能性を指摘します。
(鉄道ジャーナリスト 梅原淳さん)「ハンドルを外すというのが、普通の鉄道では運転室を離れるときの通常の動作なので、レバーが動く状態で電車を離れるということ自体が、そのブレーキの想定していない使い方と言えます」
電車を運行する札幌市交通事業振興公社は、再発を防ぎ安全運行を徹底したいとしています。