あなたは「ねっとり派」?「ほくほく派」?全国で大注目「北海道産サツマイモ」生産量急増のワケ
ほくほく派かねっとり派かー
サツマイモの好みは人それぞれです。
鹿児島など気温の高い地域が産地…というイメージですが、ここ数年、北海道産のサツマイモの生産量が目を見張る勢いで伸びています。
聞いて納得のそのワケと、道産サツマイモを巡る全道各地の動きに迫ります。
おなじみの名調子とともに店内に甘く香ばしい香りが漂います。
秋は特に美味しい…あつあつの焼きイモ!
焼きあがった瞬間、買い物客の手も次から次へと…!
サツマイモといえば、その名の通り鹿児島を中心に九州や本州産の独壇場…と思いきや!
あら!このサツマイモは積丹産!
こちらは…真狩産!
(コープさっぽろ二十四軒店 尾崎武志店長)「以前に比べれば道産サツマイモの入荷量が増えてきました」
美唄市の荒井翔悟さんは、5年前からサツマイモの生産を始めました。
2024年はサツマイモにとって気候が安定していたこともあり、出来はとてもいい!と言いますが…
(荒井翔悟さん)「これでっかいかもしれない」
(宇佐美記者)「お~めちゃ大きい!」
(荒井翔悟さん)「1.2キロぐらいあるかも」
(宇佐美記者)「とれました!すごい大きい!手と比べても倍。重さもずっしり」
(荒井翔悟さん)「北海道でもこんな立派なモノがとれる」
(荒井翔悟さん)「道産サツマイモは本州と比較して甘め。特に僕らの地域で作ると水分含有量が多いのでとろとろのイモができる。ほくほく派ととろとろ派がいると思うが、ねっとり派の人に道産はかなりおすすめ」
ほくほく派もねっとり派も、こぞって集まるイベントが連日賑わいを見せていました。
それが「焼き芋テラス」!
札幌の中島公園を舞台に、10月に開催されました。
このたっぷりの「蜜」に魅了されたかと思えば…
焼き芋がごろんと入った食べ応え満点のスイーツも!
(購入した人)「おいしい!」
まさにサツマイモ尽くしの18店舗が軒を連ね、ほくほく派もねっとり派も大満足のイベントです。
ひときわ長い列ができているこの店は…
『由栗いも』?
(購入した人)「実は去年も並んだが食べられなくて、今年は早めに来て食べようって友達と約束して」
(山﨑記者)「蜜のような甘さが口いっぱいに広がります。食感はねっとりしていますが、お芋のホクホク感も感じます」
飛ぶように売れる「由栗イモ」。
生産者の川端祐平さんも、焼く手を休める暇もありません。
(川端祐平さん)「本当にありがたい。こんなにも焼き芋を買ってもらえると実感」
川端さんは、サツマイモを地元・由仁町の特産品にしようと、5年前から隣の栗山町の若手農家とグループを結成。
2つの町の頭文字から「由栗いも」と名付けました。
ただ単純に2つのマチの名前を組み合わせただけではありません。
そのワケがここにー
(川端祐平さん)「掘った直後は美味しくないが、保管していくにつれて糖度が上がっていくので、だいたい室温15℃前後・湿度85%前後で10月から3月まで保管する。夜の気温が低いのでゆっくり育つから由栗いもと名付けました」
かつては福島県あたりが北の限界と言われてきたサツマイモ。
いまや全道で栽培されています。
それにはもちろんワケがあります。
(川端祐平さん)「北海道は昔は寒くてとれなかったんですけど、気温が年々上がってきているので、サツマイモが収穫できるようになった」
由栗イモも栽培当初・7年前の200倍近くまで2024年の収穫量は伸びているといいます。
(川端祐平さん)「サツマイモはスイーツにも調理にもいろいろなものに使えるので、サツマイモの商品や加工品を増やして、いろいろなところに販売できる仕組みを作っていきたい」
それを受けて、地元ではさっそくこんな動きもー
創業111年!
地元はもちろん、どさんこにはおなじみの…
そう!栗山町の老舗「谷田製菓のきびだんご」!
このきびだんごに「由栗いも」を使い…
その名も『畑のキャラメル』を開発!
(谷田製菓 谷田進太郎社長)「デザイナーさんが食べたところ、キャラメルのような感じがするということで、キャラメルという名前を付けたらいいんじゃないかと。ネーミングもユニークに畑のキャラメルと」
右肩上がりの道産サツマイモ。
さらに広げていくには大きな課題があります。
(北海道立総合研究機構 野田智昭さん)「サツマイモは寒さに弱いので、10℃以下になると傷んでしまう。適温は12~13℃と言われていて、この温度で保管する倉庫や場所を確保するのがこれからの課題」
課題克服の動きはさっそく広がっています。
十勝の音更町では2023年からサツマイモの試験栽培を開始。
ビニールハウスで保存するのですが…
(JA木野 青木健治さん)「これは温泉水が中に回っていて、その温かみを温風に換える熱交換器です」
近くの温泉の熱を活用して、ハウス内の室温と湿度を管理するのです。
余熱を利用する工夫で一石二鳥です。
(JA木野 青木健治さん)「ブロッコリーを作っているんですけど、温暖化の影響で作りづらくなっていて、選択肢の1つになる作物を探すというところでサツマイモにいきついた」
取り組みあの手この手。
北海道の秋の味覚として「道産のサツマイモ」が定着する日は、そう遠くないかもしれません。