消えるマチの名産に断腸…シシャモ寿司の老舗が45年の歴史に幕 海の異変影響ここまで…北海道
海の異変で、シシャモの名産地が揺れています。
2年連続の休漁によって、北海道むかわ町の名物・シシャモ寿司がマチから消えました。
観光客数も激減するなど、大きな影響が出ています。
毎年この時期しか食べられない、むかわ町のシシャモ寿司。
しかし、この名物が今、ピンチを迎えています。
マチで唯一シシャモ寿司を提供していたむかわ町の寿司店が2024年11月17日、45年の歴史に幕をおろしました。
(大豊寿司2代目店主 鈴木佑介さん)「できたらもっと長くやりたかったんですけど、シシャモもとれなくなったのでこれを機に閉店しようと」
先代から受け継いだ店を畳むという苦渋の決断。
その背景には近年の漁獲量減少がありました。
むかわ町でのシシヤモの漁獲量は、温暖化などの影響で2022年に激減しました。
2023年からは資源保護のため2年連続で休漁しています。
(記者)「シシャモの休漁が響いた?」
(大豊寿司2代目店主 鈴木佑介さん)「かなり響きました。お客さんが以前より3分の1くらいに減少。うちにとって大きいダメージ」
2024年は道東のシシャモの数も減少し、閉店日に用意できたシシャモ寿司はたったの5貫。
(注文できた客)「シシャモのお寿司自体初めて食べるので、おいしい。これが最後だ思うと残念です。おいしいです」
(店員)「すみません、シシャモ寿司もうないんですよ」
(客)「ないの!? あ、そうなんだ…」
店主は閉店後のマチ全体の観光を気にかけます。
(大豊寿司2代目店主 鈴木佑介さん)「皆さんむかわ町に来てもシシャモないんだと。休漁って出ちゃうとお客さん自体も減っちゃうので、さみしい思いは大きいですね」
観光客が多く集まるシシャモ専門店も、休漁の影響を大きく受けています。
(吉岡記者)「店頭は非常にいい香りに包まれています。生干しのシシャモがずらーっと並んでいますが、産地を見ると広尾町産とかかれています」
今シーズン店頭に並ぶシシャモは全て道東産。
客の数は2年前と比べ半分ほどに減ったといいます。
(カネダイ大野商店 大野秀貴社長)「将来にシシャモをつなげるためにも(休漁は)致し方ない判断ですので、頑張ってこの局面を乗り切るしかないと考えています」
一方、町民にとって明るい兆しも見えています。
マチは2022年に「ししゃもふ化場」を機能を拡充して移転しました。
2025年4月にはふ化した稚魚の放流を行い、秋の水揚げを目指します。
将来的には年間18トンの水揚げを見込んでいるということです。
海の異変で揺れるシシャモの名産地・むかわ町。
マチの観光への影響はまだ続きそうです。