「もっと慎重に議論を」敬老パス制度の見直し 複数の市民団体が反発 札幌市議会で議論
札幌市が制度の見直しを進めている「敬老パス」について、市議会の予算特別委員会が開かれ、議員からは利用者や市民の声を聞き、もっと慎重に議論すべきとの意見が出されました。
札幌市では70歳以上の高齢者に、地下鉄やバスなどが利用できる「敬老パス」を発行しています。
現在の制度では、最大1万7000円の自己負担で7万円分を利用することができますが、いまこの制度の見直しが検討されています。
札幌市は歩数などに応じて交通機関で使えるポイントを与える新制度「敬老健康パス」の導入を検討していて、8日の市議会で議論が交わされました。
(川田匡桐市議)「未来を見据えたとき、健康敬老パスによって社会にどのような効果をもたらそうとしているのか」
(札幌市 西村高齢保健福祉部長)「無理なく健康増進につなげ、個人が明るく豊かな生活の充実に寄与するということを目指しております」
札幌市の案は、アプリを活用してウオーキングの歩数やイベント参加など、健康寿命を延ばすための活動にポイントを付与し、これを敬老パスに移行して利用する仕組みです。
市民にとっては自己負担がなくなり、JRやタクシーなど利用先も拡大されますが、現金でチャージすることができず、利用上限も2万円分に引き下げとなります。
市が検討を進める「敬老パス」の見直しについて、複数の市民団体が反対を表明。
独自に勉強会を開いたり署名を集めるなど、現行制度の存続を求め動き出しています。
(年金者組合札幌支部協議会 斉藤浩司事務局長)「やはり地元の高齢者がどういうふうに敬老パスを使っていて、役に立って困っているのかという生の声をよく聞いた上で、議会に反映してほしいと思います。いまの案については率直にいうと撤回していただきたい。そのことを訴えていきたいと思っています」
一部の市民から反対の声も上がるなか、8日の市議会では、市が見直し案としながら新しい制度を導入することを前提で議論を進めていると指摘する議員もいました。
(竹内孝代市議)「見直しの議論の最中でありながら、提案された今回の予算の内容。敬老健康パス事業にかかる7億2600万円の予算案、これはどのような予算なのか、なぜいまなのか」
(札幌市 西村高齢保健福祉部長)「早い段階で実際にアプリに市民に触れていただく。そのためにも令和6年度から開発をしていきたい。そういうことを目指しているものでございます」
(太田秀子市議)「高齢者がいい制度だと喜んで使っているものですから、敬老健康パス制度について、私はもっと議論を重ねるべきだと思います」
市議会議員からも慎重に議論すべきとの意見がでた敬老パスの見直し。
札幌市は2026年度からの移行を目指して検討を続ける方針です。