【映像は語る】核のごみに揺れ続く寿都町・神恵内村…4年間の軌跡
「核のごみ」に揺れる北海道・後志の寿都町と神恵内村。
なぜ2つのマチは文献調査に応募をしたのか、これまでの経緯を振り返ります。
日本海からの強い風が一年中吹き付ける寿都町は「風のまち」と呼ばれています。
風力発電の風車が建ち並び、漁業が盛んなこのマチに衝撃が走ったのは2020年夏。
片岡町長が「核のごみ」最終処分場建設に向けた国の調査に応募する方針を示したのです。
(片岡町長(20年8月))「なかなかこの地域で財源が見いだせない中、ひとつ有効な財源として検討する余地がある」
年間3億5000万円もの利益を生み出していた風力発電は、将来的に利益が半分以下に。
人口2600人のマチの財政は、当時の試算で2025年に2億円以上の赤字転じるとみられていました。
そこで片岡町長が目をつけたのが「核のごみ」の調査によって得られる交付金です。
最初の文献調査では最大20億円。
次の概要調査では70億円が与えられる仕組みです。
(片岡町長)「漁業や農業の交付金がきれいな交付金で、核のごみの交付金は汚いのか。みんな国の政策ですよ。それを津々浦々永田町まで取りにいっている。何が悪いんですか」
国は、調査を受け入れたとしてもマチの意向によっては次の段階に進まなくてもよいと主張しています。
しかし、住民の疑いは晴れません。
(住民)「多額の交付金を与えているのに国は本当に手を引くのだろうか」
賛成・反対を巡ってマチは二分しました。
(反対する住民)「文献調査から概要調査に進む前にやめられると思っていいのか」
(片岡町長)「いいんじゃないですか」
結局、議会でも意見が分かれる中、片岡町長はいわば独断で文献調査に応募。
同じ日、神恵内村も国からの申し入れを受け入れ、全国初となる「核のごみ」の調査が北海道で始まりました。
あれから3年以上が経った2つのマチ。
住民の間にはこの問題への温度差が浮き彫りとなっています。
(寿都町民)「賛成する人も反対する人もこの次のステップ、概要に行くか行かないか、かたずを飲んでいる状況には違いない」
(神恵内村民)「(周囲の村民は)関心がない。本当になにも言わないもの。聞かないし言わないし、我々もそんなにしゃべらない」
核のごみは安全になるまで10万年かかるとされています。
ほかに調査に名乗りを上げる自治体がない中で、どこにどのように処分をするのか。
議論は深まらないまま、ひとつの区切りを迎えようとしています。