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【なぜ】地震後の「めまい」その原因とは 液状化被害の新潟市西区では復旧作業続く《新潟》

2024年1月20日 13:32
【なぜ】地震後の「めまい」その原因とは 液状化被害の新潟市西区では復旧作業続く《新潟》
能登半島地震から2週間以上が経ち、被災地では懸命な復旧作業が進められています。中には建物の傾きで、めまいなどの症状を訴える人もいるといいます。

高校の野球部員がボランティア

1月14日、雪が積もった新潟市西区で土砂の撤去作業を手伝っていたのは五泉高校の野球部員です。

部員
「スクワットとかやっていて、こういうのは慣れているので、こういうときに役立って嬉しい気持ちです」
「いま大変だと思うが元通りに近づいてほしい」

自分たちに何ができるかを監督と話し合い、ボランティアに参加することを決めたと言います。広がる支援の輪。

応援を得て建物調査

「窓のあそこって」「ヒビですね」

新潟市西区で調査にあたるのは山形県の職員です。新潟市では15日時点で、り災証明書の申請が7600件寄せられているものの、調査が済んでいるのは1800件ほど(19日現在では申請9194件、調査済み3619件)。

そのため。

山形県の職員
「り災証明書の発行は再建の第一歩になると思うので正確で早い調査をすることで再建のご協力ができればと思いうかがいました」

新潟市は山形県職員の派遣を受け一日も早い調査完了を目指しています。

新潟市西区の高校も被害

新潟工業高校 竹田 直人 校長
「こう斜めになっている。液状化で支えている柱が下がってしまって隙間ができた」

新潟市西区の新潟工業高校では液状化により地面が沈んだり、体育館の床が傾いたりする被害が出ました。さらに下水道の配管が破損。トイレが使用できなかったため全校生徒はリモートで授業を受けてきました。それでも、15日、元気に登校する生徒の姿が。

3年生
「やっぱり友達と会えるのはうれしいですね」

トイレの一部が復旧し、校舎の安全も確認されたことから15日から対面での授業が再開したのです。

ゴールの高さに変化が

体育の授業でバスケットボールをする生徒たち。しかし、液状化によりゴールの高さにも変化が。

体育の教諭
「3メートル5センチですけど私が計ったら3メートル10センチになってました」

それでも仲間との再会に、久しぶりの授業。戻りつつある日常をかみしめていました。

3年生
「友達と体育をできて楽しい、ひとつひとつの授業とか何気ない日常を大切に過ごしていきたいと思います」
「いろんな人が学校のために働いてくれたので感謝したいですね。悔いを残さず青春したいですね」

校長
「自宅が被害にあっている生徒もいる。いろんな思いはあるんでしょうけど元気で明るくがんばってくれているので頼もしい生徒だなと思ってます」

「めまいがする感じ」

15日、液状化現象などの被害があった新潟市西区では区役所の保健師が被災した住民やひとり暮らしの高齢者を訪問し健康状態を聞き取っていました。中にはめまいなどの症状を訴える人もいるといいます。

女性
「地震のトラウマの方が大きいんじゃないかと思うんですけど」

保健師
「気持ちが沈んで食事がとれないとか困りごとがあったら、ここが区役所の福祉課になるので」

女性
「ありがたいなと思いました。気にしていただいて。気持ちがあの時の恐怖に戻っちゃうんですよね。このリビングで地震にあったんです。そのせいか普通になんでもない作業をしていていも揺れたかなとか、何かめまいがする感じが」

聞き取りで多かったのが、不安からくる体調不良や食欲不振、そして「めまい」だといいます。

地震が起きていないのに「ふらつき感」

犬飼医院長
「地震酔いと言われていて、地震の後、地震が起こっていないのに、ふらつき感を感じる」

そう話すのは「めまい平衡医学会」の専門会員でもある新潟市北区「いぬかい耳鼻科クリニック」の犬飼賢也医院長です。

「刺激を減らすことが有効」

地震の発生以降、めまいの症状が悪化したという患者が10人ほど訪れています。心理的な負担によって自律神経が乱れることなどが原因になるため、地震の映像を繰り返し見ないようにするなど刺激を減らすことが有効だといいます。

また、体調不良のもう1つの原因が建物の傾きです。

感覚混乱を起こす

犬飼賢也医院長
「耳からの情報はまっすぐだと言っているので足と目の方からは曲がっているという情報が来ますので、感覚混乱を起こすので」

犬飼医師によりますと耳の中の器官は重力によりまっすぐに感じますが、体と視覚は斜めになっているため感覚が混乱し、めまいなどの不調につながるといいます。

傾斜と健康被害

日本建築学会によりますと建物が0.29度傾くと傾斜を感じ始め、0.6度でめまいや頭痛、2度から3度でさらに吐き気や食欲不振などを引き起こすということです。新潟市西区でも液状化現象による被害が多かった地域では、めまいなどの症状を訴える人が多いといいます。

保健師 力石砂織さん
「慣れてくるとなくなってくることもあるんですけど、個人差がありますので、まだまだ慣れずに気持ちが悪いなという方もありました」

新潟市西区役所では体調不良や不安を感じる場合は、かかりつけの医師や、区役所の健康福祉課に相談してほしいとしています。
 

2024年1月15日「夕方ワイド新潟一番」放送より