【特集】「またコメが不足する」農政の限界を指摘する声も…“令和のコメ騒動”で見えたひずみ “コメクライシス”前編≪新潟≫

コメの主要産地の一つ新潟県でも、コメ不足の影響は広がっていました。
〈消費者〉
「全然ないですね。うちもあと2日分ぐらいでなくなるところだったので」
〈消費者〉
「スーパーに全然ないですよね」
〈消費者〉
「主食が不足すると困るよね」
2024年6月。各地でコメが品切れになり始めていた頃……
〈坂本 農水相(当時)〉
「現時点で主食用米の需給がひっ迫している状況ではありません」
地方からは国に対策を求める声が上がりました。
〈吉村 大阪府知事〉
「政府の備蓄米の開放の要望を農水省にいたしました」
〈坂本 農水相(当時)〉
「米の需給や価格に影響を与える恐れがあるため、慎重に考えるべきものと考えています」
「慎重に考えるべきもの」その姿勢を崩しませんでした。
一時、姿を消したコメは新米の流通と共にスーパーの棚に種類豊富に戻ってきました。
しかし、新たに消費者を悩ませたのは価格です。いま、高止まりとなっています。
〈消費者〉
「おコメ高くなってますよね。前は2,000円台だったのが、いまは3,000円台ですよね」
〈消費者〉
「どこ行っても高いのでしょうがないんですけど、おコメが高くなっちゃ、ちょっとあれですよね。どこかに余ってたら回してもらってみたいな…何かできないんですかね」
消費者にコメを届ける流通の現場では2024年秋、すでに異変が起きていました。
新潟県が東京で開催したコメの商談会。県内の生産者や卸売業者と、新潟のコメを求める全国の業者を引き合わせました。新潟市の生産者のブースを訪ねたのは千葉から来た、弁当を製造する業者です。
〈食品加工会社〉
「卸さんから安定的な供給が難しくなる事態が発生しているので、より産地の方とつながっておいた方が安定的なものが供給してもらえるんじゃないかなという思いもあって」
遠く、九州からも……
〈熊本の卸売業者〉
「ちょっと譲ってもらわんなら帰りませんくらいの勢いで。何かしら爪痕残して帰らんとダメかなというところで。ちなみにですけど、コメはあるでしょうか?」
〈上越市の集荷業者〉
「モノですか。モノは正直言って非常に少ないです」
流通の現場で起きていた争奪戦。消費者に届けるコメが足りない……。全国各地の業者が探し求めていました。
〈兵庫の卸売業者〉
「争奪戦の結果、値段が上がっている状態が続いているような感じ。2025年の秋口以降までコメを確保する必要があるので、そうすると高いおコメでも無理にでも買ってしまって、私どもの在庫として確保する必要がありますんで」
〈上越市の集荷業者〉
「生産数量と必要とされている実需量のバランスが、いま少し崩れていると思います」