【能登半島地震】なぜ…被害認定が不服なのに再調査を見送る人も 新潟市で2次調査始まる《新潟》
片付けに追われた2か月
地震の片付け作業に追われたこの2カ月。新潟市西区に住む牧野陽子さんです。
牧野陽子さん
「私が嫁いできてからもう40年近くなるので、やはり思い出がいっぱいある」
このまま住むことを諦める
盛り上がった床。液状化や揺れの影響で扉が開かなくなり使えなくなった部屋も。さらに、電気・ガス・水道といったライフラインも使用できなくなり住むことは諦めました。
いまは、近くのアパートへ避難していて今後同じ場所に家を建て直すか悩んでいると話します。
片付けの最中「涙が出た」
牧野陽子さん
「自分の部屋片づけているときに涙が出てしまって、大声でわっと泣いてしまったんですけど、それが泣いていてもしょうがないなって。前向かなきゃって思って、それから泣くのをやめたというか」
「半壊」と判定される
公的な支援を受けるため必要な、り災証明書。建物の被害認定調査に基づき「全壊」から「一部損壊」まで6段階で判定され、それにより支援の範囲が変わります。
牧野さんの住宅は「半壊」と判定されました。
半壊でどんな支援が受けられるのか
半壊の場合、新築の購入や建て替え費用の支援は受けることができません。
生活再建のための支援金も金額が大きく異なります。
「受け止めができなかった」
牧野陽子さん
「私たちにしてみれば住み慣れたうちなので、これで半壊かなって受け止めがなかなかできなかったですけど」
2次調査を申請できるが「判定下がるケースも」
判定結果に納得がいかない場合は2次調査の申請ができます。新潟市には15日朝までに381件の申請が寄せられています。
1次調査では家の傾きなどの外観のみで判定が行われています。2次調査は、これに加え床や天井などの家の中の被害状況も調査します。
新潟市によると、調査対象が広がることで、判定がより下がるケースもあるということです。
「半壊が取り消しになったら…」
牧野さんも2次調査の申請を検討していました。ただ、「半壊」という判定をやむを得ず受け入れたといいます。
牧野陽子さん
「もしかすると半壊も取り消しになるかもしれないっていう話もあったので、国の税金で賄うわけなので厳しいところがあって当然なのかもしれませんが、被災した私たちにとっては厳しすぎるかなと思ってます」
新潟市西区を中心に相次いだ液状化の被害。専門家は液状化の被害認定の基準が被害の実態に即していないと指摘します。
新潟大学 災害・復興科学研究所 卜部厚志教授
「建物の傾きの調査の方のフロー(手順)があって、もうひとつ液状化のメニューの方のフロー(手順)があって、そっちの方のフロー(手順)に入ると、いきなり床上1メートルまで家が砂に埋まっていることみたいな基準が“全壊”になるのでそんな家ないよねというところから、国の基準が液状化のことがちょっとあれっ?という感じであまり考えられていない」
液状化による被害の大きさが浮き彫りになった今回の地震。支援の在り方が問われています。
2024年3月12日「夕方ワイド新潟一番」放送より