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【特集】「早く会わせてあげたい」 拉致問題を学んだ小学生たち 家族の再会を願う署名活動を行う《新潟》

2023年12月24日 18:00
【特集】「早く会わせてあげたい」 拉致問題を学んだ小学生たち 家族の再会を願う署名活動を行う《新潟》
児童の署名活動

北朝鮮による拉致問題。拉致被害者の5人が帰国して以降、目立った進展はなく、問題の風化が懸念されています。高齢化する被害者家族。拉致を知らない世代ができることとは。

拉致問題を学んだ子どもたち

それは自分たちが生まれるずっと前の出来事、そして今も続く問題。

子どもたちが作っていたのはポスターやチラシ。拉致問題について学び、解決に向けて何ができるかを考えて言葉をつづりました。

児童
「色々な方の話を聞いて私自身も興味を持つようになりました」
「めぐみさんの話も聞いたから早く会わせてあげたいという思いも込めながら書いています」

横田めぐみさん拉致から46年

当時13歳、新潟市内での下校途中で北朝鮮に拉致された横田めぐみさん。拉致から今年で46年が経ちます。


曽我ミヨシさんも行方不明のまま

そして、娘の曽我ひとみさんと共に佐渡市で拉致された曽我ミヨシさん。めぐみさんとミヨシさんの行方は今もわかっていません。また1年が過ぎていこうとしています。

21年前、5人の拉致被害者が24年ぶりに日本への帰国を果たしましたが、そこに2人の姿はありませんでした。

横田早紀江さん「大変な問題が潜んでいる」

横田めぐみさんの母・早紀江さんと、拉致被害者の曽我ひとみさんは11月、東京都内で開かれた集会で対談しました。

横田めぐみさんの母・早紀江さん
「こんなことが放っておかれていいのだろうか、子どもたちが関心なく知らないままで大人になっていく時、あちら(北朝鮮)は、何もできない日本なのだと思ったままで、拉致以外のもっと大きなことをやるかもしれませんし、そのような大変な問題が潜んでいるのだと気が付いて、もう泣いている場合じゃない、絶対に泣かない、戦う」

早紀江さんが訴えた拉致問題の風化。5人の帰国以降、目立った進展はなく、拉致問題を知らない世代も増えています。

児童たちが署名活動を行うと発表

柏崎市にある荒浜小学校です。今年10月、佐渡市の真野小学校と福井県小浜市の加斗小学校をオンラインでつなぎ、会議が開かれていました。3つの市は、拉致被害者の蓮池薫さん、曽我ひとみさんなどの地元です。

荒浜小学校の6年生たちは事前に蓮池さんから特別授業を受けていました。その中で伝えられた拉致問題の話。ほとんどは教科書に載っていないことでした。

児童
「まだ日本に帰って来られていない方がいることを忘れてはいけないことをよく知ることができました」

解決に向けて自分たちにできる取り組みを考えました。署名活動です。

荒浜小学校の発表
「私たち子どもたちの声や呼びかけが、解決に向けて力になるということも教えてもらいました」

拉致被害者の蓮池薫さん「小学生が一歩踏み出した動き」

蓮池薫さん
「小学生が自分で学んで、拉致問題解決のために踏み出したこれはとても大きなことですし、一歩踏み出した動きを見せるのは初めてじゃないのかなと思います、全国的にも」

自分たちでポスター製作

蓮池さんから聞いた話をもとにポスターやチラシを作成。自分たちでメッセージを考えました。準備を進めてきた署名活動は柏崎市内の3か所で行います。

児童
「拉致問題をいま知らない幅広い方に知ってもらいたいなというのもありますし、拉致被害者の家族の方がお話しをしてくれたのですけど、その時の表情が心に残っている」

「拉致問題を沢山の方に知ってもらって解決を早く目指していきたいなって思っています」

動画も制作

さらに、動画も制作しました。

動画で呼びかけ
「横田めぐみさんとお母さんの早紀江さんを会わせてあげるために署名活動やポスター、チラシの活動を広めていくことが今僕らにできることだと考えたので、ぜひ署名のご協力をお願いします」

同じ年代の児童たちに拉致問題について関心を持ってもらいたい…。動画は市内の小学校へと配信されました。

男子児童
「拉致問題を早く解決したい、あと拉致問題を皆に広めていきたいです」

スーパーの前で署名活動スタート

12月5日、署名活動の日です。3つの班に分かれた6年生たち。スーパーの前で買い物客に呼びかけます。

児童たち
「署名をお願いします」

勇気を出して声をかける児童

署名活動は柏崎市役所でも。初めての署名活動に固い表情を見せる児童。それでも、勇気を出して。

児童
「うわ、緊張するな」
「早く行けって」
「すみません!今拉致問題の早期解決のために署名活動を行っているのですけど、いいですか、ありがとうございます」

真剣な思いが伝わり、1人また1人と署名が集まります。

署名のために現地に来た人も

初めて署名する男性
「このためにわざわざ来た。静かに待っていては(ダメ)。一日も早く解決することを願うだけですね…(泣)。何もできませんけどね」

「他人事と思っていない子どもたちが、こんなにも…」

署名した女性
「まだ帰ってこられなかった人が沢山いるのでいつも気になっているのですけど、すごいですよね、他人事だと思っていない、若い子どもたちがこんなにいるというのはすごく…うれしいです(泣)」

寒空の下、約2時間呼びかけ続けた子どもたち。300を超える署名が集まりました。

児童
「拉致問題は早期解決しないといけないし、拉致されている人のためにも頑張らなきゃなと」
「知らないことは一杯あるのですけど人を助けるには人の力が一杯必要なのだなと思いました。大きくなって他の方々にもこういうことがあるのだよと教えてあげたい」

佐渡市でも児童たちが

そして、12月10日。署名活動は佐渡市でも行われていました。母・ミヨシさんの救出を訴える曽我ひとみさん。その傍にはオンライン会議に参加していた真野小学校の児童たちの姿がありました。ミヨシさんは間もなく92歳の誕生日を迎えます。

真野小学校の5年生
「本当に北朝鮮から早く帰国して欲しいし、高齢化も進んでいるから一刻も早い帰国を願っています」

曽我ひとみさん
「問題が風化してしまうことが一番心配している。この拉致問題をもっともっと広めて関心を持ち続けていただきたい」

半世紀近い歳月が過ぎる中、未だ解決しない拉致問題。事態の進展、救出を願う声はなくなることはありません。

訴え続ければ、いつかは必ず。


「夕方ワイド新潟一番」2023年12月13日放送より