消滅可能性自治体・県内は9市町村 6市町村は脱却も「嬉しいが、これは一つの指標」人口減少に歯止めかけるには?
4月24日東京で開かれた人工戦略シンポジウムで発表された「消滅可能性自治体」。
2020年から2050年の30年間に出産を担う20代30代の女性が半減する自治体を「消滅可能性自治体」として公表し、全国およそ1800の自治体のうち、およそ4割に当たる744の自治体がその対象になると発表されました 。
県内で対象となった自治体は「えびの市・串間市・ 国富町・高千穂町・椎原村・諸塚村」など合わせて9つの市町村です。
地方創生などが専門の宮崎大学 地域資源創成学部の根岸裕孝教授は「今回の調査は、女性の移動に注目した推計。若い女性がいなくなったら子どもが生まれないので、そこに着目した推計」と話します。
10年前の調査では県内15の市町村が消滅の可能性と示されましたが、今回、消滅可能性自治体から脱却したのは日南市・小林市・綾町など6市町村です。
その中で改善率が最も大きかったのは西米良村で29.4ポイント改善しました。
- 【話:宮崎大学 地域資源創成学部の 根岸裕孝教授】
2014年はまさに衝撃的だった。各地方自治体が人口減少に向き合わなきゃいけないという危機感が高まったと思うんです。移住者を増やしていく若い女性の働く場所だとか子育ての環境を作っていくなど努力した結果ということが言えるのではないか。
子育ての環境や若者が働く場所を作るなど、小さい自治体だからこそ合意形成もしやすいし若者のため、若い女性のためという形でお金を使っていくということが取り組みやすい。環境の変化の中で特色を押し出しをしていくか、先手を打っていくという取り組みが必要なんじゃないか。西米良村は地域の皆さんたちと行政の皆さんたちがうまく連携したことがよかったのではないか。
今回の結果について西米良村の黒木竜二村長は
「消滅可能自治体から抜け出せたということは率直に言って嬉しいところ。結婚出産育児がしやすい村づくりとして結婚奨励金や安心出産助成金、出産祝い金、すくすく子育て支援など様々な制度に取り組んできた」と話します。
さらに去年5月には移住や定住対策に特化した「すまいる課」を設置。移住者に対して職業や住む場所の斡旋を行うなど力を入れています 。
- 【話:西米良村 黒木竜二村長】
今回、自然消滅自治体に選ばれなかったんですけれども、これは一つの指標であって、人口減少は進んでいるので、職員としても一丸となってしっかりと目を向けて気を引き締めていくという気持ちでいます。
一方、20代と30代の女性の減少率が最も高かったのは諸塚村です。
減少率72.6パーセントで、2050年には人口676人、20代30代の女性が23人になると推計されています。
これを受け諸塚村は、「悲観することなく、一つの指標として諸塚村活性化の参考にする」とコメント。
現在諸塚村は小中学校の給食費や高校生までの医療費を無償化。
また高校生一人当たり月額2万円を給付するなど、子育ての経済的負担を軽減するための施策を行っています。
宮崎大学 地域資源創成学部の根岸裕孝教授は「未来に対して悲観的になるのではなく、新しい考え方と価値観や新しい様々な連携の仕方など、前向きな創意工夫を活かせるような環境づくり非常に重要」と話します。
今年4月1日時点の県内の推計人口は103万4,230人。
ピークであった1996年 117万7,407人をピークにどんどん減少傾向が続いています。
人口戦略会議によりますとこのままいけば日本の人口は年間100万人のペースで減っていき、2100年には6300万人に半減すると推計しています。
人口減少の要因の一つとされているのが、若者の世代の結婚や子供を持つ意欲の低下とされています。
背景としては、女性が出産をする際に育休や退職をすることで収入が大幅に減ってしまうこと。
子供を持つことに対してリスクや負担を感じてしまうということなどがあります。
人口戦略会議では出産や育児を親のみの責任とせず、国や社会が支援するという考え方を国民の共通認識とすることが重要だとしています。