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山形県知事選候補者の訴え 記録的大雨で甚大な被害相次ぎ 復旧・復興の対応は

2025年1月15日 17:59
山形県知事選候補者の訴え 記録的大雨で甚大な被害相次ぎ 復旧・復興の対応は

現職と新人による一騎打ちとなっている山形県知事選挙が繰り広げられる中、県政の課題をシリーズで検証しています。2回目は「災害対応」です。記録的な大雨などで被災した住民たちが今求めることに県トップの対応を検証します。

14日、戸沢村の仮設住宅近くで街頭演説を行った現職の吉村美栄子さん。

吉村美栄子知事「まずもって去年の大水害からの復旧・復興、ここが一番力を入れていかなくてはならないと思っている」

去年7月、庄内・最上地方を中心とした記録的な大雨で甚大な被害が発生しました。被害額は過去最大となる1111億円にのぼっています。
戸沢村の蔵岡地区では、近くを流れる最上川の氾濫でおよそ70戸が浸水被害に遭いました。
地区は、過去に幾度となく水害に見舞われ、県はおととし、地区を囲む堤防「輪中堤」を完成させたばかりでしたが、被害を防ぐことはできませんでした。

住民「水の心配がないところに集団移転するしかない。もうここは住む所じゃない」

去年9月のアンケートでは、9割以上の住民がより安全な場所への「集団移転」に賛成し、村は現在、国や県と協議を進めています。
集団移転への対応を迅速に進めるため、県は1月から職員2人を戸沢村に派遣しました。
蔵岡地区自治会長の山崎昇さんは住民およそ60人とともに、現在、仮設住宅で生活しています。

蔵岡地区会長山崎昇さん「家屋の調査をいち早く進め、補償費算定の作業に迅速に取り組んでいただきたいということがいま一番のお願い」

一方、7月の大雨で、住宅や農地に大量の土砂や流木が流れ込んだ酒田市北青沢地区。
所有する田んぼが壊滅状態となった荒生道博さんは、視察に訪れた吉村さんに切実な思いを訴えました。

荒生道博さん「収入保険が単年度で終わりと言われている。復旧がこれから5年先になるか、10年先になるか全く見通しのつかない中で、保険が2024年で終わりなら、2025年以降どうするのか、生産基盤がないのでそれを補填するのが保険だと思うので、それを県や国に制度を見直してもらいたい」
吉村知事「農林部と相談してみます」
荒生道博さん「お願いします」

復旧・復興へ、荒生さんは吉村さんに県のトップとして国への働きかけを期待します。

荒生道博さん「直接知事に話したことは、国に言ってくれたみたい。それが反映されればいい」

一方、2022年8月に発生した置賜地方を中心とする大雨災害。
橋の崩落などにより、長井市の今泉駅と新潟県の坂町駅との間で運休が続くJR米坂線は、発生から2年半が経った現在も、復旧の見通しは立っておらず、バスによる代行輸送が続いています。
県は沿線の市や町とともに、復旧費用の負担やその後の運営についてJR東日本と協議を続けています。JR側は「単独での運営を前提とした復旧は難しい」としています。

吉村知事「公共交通機関だという視点をもっとしっかり政府もJRも持っていただきたい」

吉村さんは、JRによる復旧や国の支援を要望しながらも、運行と施設管理の主体を分ける「上下分離方式」や第3セクターによる運営も含めて議論を前に進めたい考えです。
現在も復旧のめどが立たない状況について、おととし6月から早期復旧に向けた署名活動を続けているNPO法人えき・まちネットこまつ代表の江本一男さんは危機感を抱いています。

えき・まちネットこまつ江本一男 代表「1年、2年と進まなくなると、皆さん、諦めというか、米坂線がないことが当たり前になってしまう部分もあり、そこが一番危惧している」

県は去年8月に復旧への機運を高めるためのイベントを開催しました。
これまでにおよそ2万3000人分の署名が集まり、江本さんは県に対し、復旧を求める機運の継続的な醸成や、復旧時期の明示などを要望しています。

えき・まちネットこまつ江本一男 代表「残してくれと声を1つにして、米沢から坂町までの住民がこれだけの運動をしているのだから、復旧にこぎつけるんだと施政方針の中にぜひ出していただきたい」

激甚化、頻発化する大雨。そして大地震や大雪。県民の命を脅かす災害にどう対応するのか。
今回の選挙戦で吉村さんは去年の大雨災害からの迅速な復旧・復興、そして米坂線など運休路線の早期復旧のほか、防災力の強化などを掲げています。

吉村美栄子知事「防災士の養成や女性の参画促進、デジタル技術などを活用した地域防災力の向上、治水対策などソフト、ハード両面から県土強靭化を進める」

一方、新人の金山屯さんは次のように訴えています。

金山屯候補(無・新)「県内の細かいことはほとんど知らない。産官学が三つ巴で何事もやってほしい」

被災者の気持ちに寄り添い、国や関係機関などとの調整を図りながら、迅速かつ継続的な対応が必要な「復旧・復興」。そして、想定外の事態でも被害をできる限り少なくするための「防災・減災」。県のトップのリーダーシップが求められています。

最終更新日:2025年1月15日 21:02