「自助・共助・公助」の意識高まる 山形県沖地震から5年 鶴岡市で訓練
山形県内で観測史上最大となる震度6弱を記録した県沖地震から18日で5年です。地震災害が相次ぐ中、庄内沿岸の住民組織はいま、避難先に留まってもらう方法を模索しています。命を守る地域の備えを取材しました。
2019年6月18日、午後10時22分。県沖を震源とする地震が発生し、鶴岡市の温海地域で県内観測史上最大の震度6弱を観測しました。鶴岡市の沿岸部では、1000棟以上の家屋で屋根瓦が落ちたり、塀が崩れたりする被害が出ました。
地震発生から5年が経った18日、鶴岡市は県沖地震と同じ規模の地震が発生したと想定し、訓練を行いました。
訓練は発災直後の情報伝達や避難所の開設、不足した物資の輸送までの初動対応を確認しました。
皆川 治鶴岡市長「県沖地震の揺れは県における観測史上最大の揺れだったということもあり瓦屋根の被害など大変大きな被害が出た。日ごろから防災意識を高めいざというときには対応できるように訓練を積み重ねていきたいと思っている」
県沖地震以降も全国では大規模な地震が起きています。ことしの元日には能登半島地震が発生。県内沿岸部にも「津波警報」が発表されました。津波に関する警報が県内に出たのは31年ぶりで庄内地域の住民5000人余りが避難しました。
相次ぐ自然災害ー。地域の防災意識は高まっています。
加茂地区自治振興会斎藤 正哉会長「山形県沖の5年前の地震の際もそうだったが能登半島地震の方がずっと身に染みて避難を改めて再認識した」
能登半島地震による津波警報で、鶴岡市の沿岸部「加茂防災コミュニティセンター」にはおよそ300人が避難しました。この施設は災害で住まいを失った人を長期間受け入れる「二次避難所」に指定されています。しかし、当時、避難者全員分の食料や毛布はなく、備え不足が表面化しました。
加茂地区の自治会はこの教訓を踏まえ、今年度初めて予算を組んで備蓄品を充実させることにしています。
さらに今後、大規模災害を想定し沿岸周辺の4地区で協定を結び支援機能の強化を図る予定です。
加茂地区自治振興会齊藤 正哉会長「みんな行政におんぶにだっこはできないので自分たちでやれるところはやるしかない」
住民同士による「共助」の意識は高まっています。
一方、個人が災害に備える「自助」の取り組みも進んでいます。
参加者「災害が最近、結構頻繁にあるので参加して町内会で知識を広めていこうと参加した」
この日開かれた「きょうから始めようみんなで防災セミナー」には市外の住民も参加し、非常食について学びました。
鶴岡市地域防災アドバイザー小関 やえ子さん「防災士になる際、一番最初に学んだことは自助・共助・公助。自助は自分のことは自分で守る。共助は近所の人とか町内会で守っていく。公助は市や県、公の助け。ところが公の助けが来るまでは早くても3日かかると言われている。まず最低3日分は自宅で備蓄して食べられるようにしておきましょう」
参加者は電気やガス、水道が止まった場合に備えカセットコンロを使った非常食の作り方を学びました。
参加者「非常食の作り方がわかるといざというときに安心です。町内会でも防災訓練のときにみんなでやれればいいかなと思う」
「いろいろな災害が起きるので基礎知識だけでも学んで生かせたらと思って受講した。日ごろから意識しておくことが大事だと思う」
普段の生活の中で、非常食を食べることも重要だと言います。大規模な地震の経験、それが防災意識の高まりにつながっています。