笑顔がみられて元気に 浸水被害を受けた戸沢村蔵岡地区 仮設住宅でクリスマス会
ことし7月の大雨で集落全体が浸水被害を受けた戸沢村蔵岡地区は現在も60人近くの住民が仮設住宅で避難生活を送っています。避難生活を余儀なくされている住民たちが少しでも元気に新年を迎えられるようにと、仮設住宅を会場にこのほど開かれたクリスマス会に密着しました。
戸沢村に設置された県の応急仮設住宅。敷地内に11月完成したばかりの談話室に避難生活を続けている蔵岡地区の住民たちが集まりました。
「おー のりちゃん!」「おはようございますお久しぶりです」「入って入って!」「私 津谷地区から津谷に息子の友だちがいて部屋を貸してくれた」
クリスマス会を主催するのは仮設住宅で暮らす芦原美智子さん(72)。蔵岡地区で開いていた月1回のサロンの一環として20日、クリスマス会を企画しました。
芦原美智子さん(72)「集団移転がどこに行くかわからないけどそれまでの2年間 皆さん元気に過ごしてほしい気持ち」
この日は、仮設住宅の入居者を中心に、蔵岡地区の内外から13人が参加しました。ほとんどが高齢者です。仮設住宅での暮らしは、別々の地区に離れてしまった住民たちと出会う機会も限られていて、寂しさを感じるお年寄りも多いといいます。
「気持ちいい」
そのうちひとり、仮設住宅で暮らす芦原良子さん(88)は、蔵岡地区で明治時代から続く商店を営んでいました。
芦原さんの商店は7月の大雨で商品や家財道具のほとんどが土砂に飲み込まれました。そして芦原さんは100年以上続いてきた店を畳むことを決めました。
芦原良子さん「全部 全部だもの。商売を続けようかとも思ったけど、今回でもう諦めました。やっぱり水にはかなわないね」
芦原さんも輪投げに参加しました。
「よく入った」「入らない体曲がっているもんだから」(笑)「体のせいにしないでください」
芦原良子さん(88)「何日ぶりで会うものですから楽しいです。みんな笑顔で元気な姿を見るとほっとします」
輪投げ大会のさなか、会場に届いたのはー。
「新庄で一番おいしいケーキ屋さん。有名ですよ」
長沢菓子店新庄店長沢智 店長(戸沢村出身)「いろいろ気持ちが落ち着かない中でちょっとでも甘いものを食べて一時だけでも楽しく過ごしてもらえたら」
「おいしそうね山形のイチゴ」「いただきます」「おいしいなあ」「みんなで食べるとおいしいね」「おいしい!」
芦原良子さん(88)「私も漬物持ってきたけどおいしいなんて言われてうれしいです。健康で体に気を付けてみんなで正月を迎えたい」
仮設住宅で暮らす横山順さん(85)「なんとなく気持ちが明るくなったなあ。うちでばかりひとりいると暗い気持ちできょうこうやってみんなと会ってまず楽しかったなあ」
会を企画した芦原美智子さん(72)「皆さんの笑顔が見られて元気がもらえますね。もう悲しんでばかりいません後ろ向いたってしょうがないから前を向いて 一歩一歩ね」
集団移転の行方など将来への不安を抱える中、笑いが溢れるクリスマス会に参加者たちは皆、ひとときの癒しを感じていました。