1審に続き2審も国の責任を認めず 山形県内の原発避難者集団訴訟 東電には6000万円の慰謝料求める
東日本大震災に伴う福島第1原発の事故で、山形県内の自主避難者が国と東京電力に対しおよそ20億円の損害賠償を求めた集団訴訟の控訴審判決が17日言い渡されました。仙台高裁は、東電の賠償責任のみ認め、国の賠償責任を認めない一審の判決を支持しました。
この裁判は、福島第一原子力発電所の事故で、福島県から県内に避難した185世帯669人が、国と東京電力に対し、慰謝料合わせておよそ20億円の支払いを求めているものです。
裁判では津波の被害を予想して事前に事故回避策を講じていたかや、自主避難者らへの慰謝料の額が妥当かが主な争点となりました。2019年12月山形地裁は国の責任は認めず、東電の責任のみ認定し、避難者5人に対し合わせて44万円の支払いを命じる一審判決を言い渡しました。
仙台高裁で行われた控訴審判決で石栗正子裁判長は、「津波の発生を完全に予見することはできなかった」とし一審同様、国の責任は認めず、東電の責任のみ認める判決を言い渡しました。その上で、東京電力に対し、新たにおよそ350人に対し慰謝料合わせておよそ6095万円を賠償するよう求めました。
国と東電を相手にした集団訴訟は、全国でおよそ30件あり、最高裁判所はおととし6月、国の賠償責任を否定する判断を下していて、今回もそれに沿った判決となりました。
原告弁護団外塚功弁護士「おととし6月の最高裁判決が国の責任を否定した。そのあとに行われた高裁判決としては5件目になるが、全て国の責任は否定されている。国の責任を追及するという全国的な踏ん張りがこれからも必要だと思っている」
原告の弁護団は、今後、最高裁に上告し国の賠償責任を追及していく方針です。