預金やローンの金利はどうなる? 日本銀行がマイナス金利を解除 県民の生活への影響は?
日本銀行は21日、マイナス金利を解除し、17年ぶりの利上げに踏み切りました。歴史的な金融政策の転換となった今回のマイナス金利解除は今後、山形県民の生活にどのような影響を及ぼすのか専門家に話を聞きました。
日本銀行・植田和男総裁「マイナス金利政策といった大規模な金融政策はその役割を果たしたと考えています。短期金利を主たる政策手段とする普通の金融調節になる」
「マイナス金利」の解除で日銀は2007年以来、17年ぶりに利上げに踏み切りました。これまでの大規模な金融緩和策から大きく転換することになりました。
山形市で聞きました。
公務員「ローンがある人だと大変かなと思う。私はまだ家がないのでこれから家を持とうとする人にとっては気になるかな」
市民「私は年金暮らしであんまり関係ないかなと思っている」
高校生「最近授業で習ったばかりのことが関わっていてちょっと難しい」
日銀の政策転換について、マクロ経済学を研究する山形大学人文社会科学部の溜川健一教授は、「ある程度予想されていた展開だった」といいます。
山形大学人文社会科学部溜川健一教授「物価がかなり上昇している状況で利上げというのはあるんだろうなと見ていた。日銀が慎重に賃上げを見極めていたので、それほど驚くところではなかった。マイナス金利はより金利全体を下げる効果を狙ったもの。金利を下げると住宅ローンの金利も下がり、住宅をより購入しやすくなる。企業も貸出金利も下がって設備投資しやすくなり、需要が増えて経済が活発になることを狙ったものだった」
溜川教授によりますと、マイナス金利は民間の銀行が日銀にお金を預ける際、日銀が銀行側に利子を支払うのではなく、預けた銀行側にペナルティとして利子を支払わせるものです。これによって、銀行は日銀にお金を預けなくなり、そのお金を使って企業への貸し出しが増える効果がありました。また、金利が下がることで個人も住宅ローンを組みやすくなりました。一方、銀行側の収益が悪化する仕組みでもあったといいます。
利上げによる県民生活への影響はー。
山形大学人文社会科学部溜川健一教授「重要なのは日銀の政策金利の上げ幅。今回、0~0.1%の利上げだが追加で今後利上げがあるのであれば変動金利の住宅ローンにそれなりに影響してくると思う」
また、県内企業の99.8%を占める中小企業への影響はー。
山形大学人文社会科学部溜川健一教授「設備投資の額が大きいところは影響がある。利上げが進むとそれを上回る収益を上げていかなければならない。そこは…淘汰という言い方が適切かはわからないが」
溜川教授によりますと、利上げで想定される影響は、家計では、住宅ローンの金利が上昇する可能性がある一方、預金の金利も上昇します。
企業では、借り入れの際に利子が上がる可能性があるため設備投資が減少する恐れがあるものの、利上げによって円高に向かった場合、原材料の輸入コストが下がる可能性があります。
山形大学人文社会科学部溜川健一教授「変動金利は4月・10月に金利見直しがあるのでそこを注意してみたほうがいい」
県内の地銀3行のトップは今回の利上げについて次のような反応を示しています。
山形銀行の佐藤英司頭取は、「中長期的にみれば、銀行の本業である預金、貸出金の利ざやが拡大していくことで資金利益は増加していく」と期待感を示しています。金利の引き上げについては「預金、貸出金とともに、市場の金利状況などを勘案しながら検討する」としています。荘内銀行の松田正彦頭取は「政策正常化による地域経済へのプラス影響を期待している」とした一方、金利の引き上げに関しては「中央と地方では環境や状況認識に異なる部分もあるように思われる」とコメントしています。きらやか銀行の川越浩司頭取は「金融政策が正常化するのは好ましいが、中小企業の取引先が多く、貸出金の急激な利上げは慎重な判断が必要」とコメントしています。