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自身も聴覚障がい 手話サークルの代表務め理解を広げようと啓発活動 鶴岡市の男性

2025年2月13日 18:12
自身も聴覚障がい 手話サークルの代表務め理解を広げようと啓発活動 鶴岡市の男性

鶴岡市の50代の男性は自身も聴覚障がいがありながら、障がいへの理解を広げようと啓発活動に取り組んでいます。地域の地道な福祉活動をたたえる山新放送愛の事業団「愛の鳩賞」を受賞しました。

渡部佐一さん「渡部佐一と申します。よろしくお願いします。わたしは『かたぐるま手話サークル』の代表を務めています。また小学校などで福祉学習の講師を務めています」

手話講師として活動する鶴岡市の渡部佐一さん(56)。生まれて間もなく風疹にかかり高熱で聴覚を失いました。高校生のときに手話ができる先輩と出会ったことがきっかけとなり独学で手話を学びました。現在は会社員として働きながら子どもたちの福祉学習や福祉イベントなどで手話を教えています。

手話講座「『こんにちは』はこのように表します。時計の針が12時になった様子」

講師を始めてから36年。渡部さんは障がいを理解してもらい、誰もが暮らしやすい環境を目指して個人で活動を続けています。

2月、講師として招かれた 中学・高校生向けの講座では日常生活で苦労した体験談を紹介しました。

渡部佐一さん「コンビニで弁当を買うとき『温めますか?』と早口で言われても何を言っているか分からない。だんだん荒い対応をされてしまったことがあってすごく嫌な思いをしたことがあります」

その後、ヘッドフォンで耳を聞こえにくくし、聴覚障がい者にとってコンビニの店員の話し声がどのように聞こえるのか、参加者に疑似体験してもらいました。

高校生「コンビニで話す内容を知っているので頭の中で補足しながらなんとなく意味を理解することができるが、本当の言葉を聞いたことがない人は例えば英語で話しかけられるようなものなので意味が分からないんだろうなと感じた」

渡部佐一さん「補聴器を付けていても分からない、聞こえないということを理解していただきたいと思います。補聴器を付けているから聞こえるとは思わずに手話や筆談を使って話しかけていただけるとうれしいです。みなさんと一緒に平等な社会で暮らしていけるようにぜひご協力お願いしたいと思います」

講習後、子どもたちは渡部さんのもとを訪れ手話の学び方や名前の表現方法を聞いていました。
渡部さんは活動を始めた当初と比べ、子どもたちの手話への意識が少しずつ変わってきたと感じています。

渡部佐一さん「周りを見ているとすごく笑顔でみんなすごく良い気持ちを持ってくれていて安心して話をすることができました。昔と比べると少しずつ変化があるように感じます。若い方たちが手話通訳をできるように手話通訳者が増えてくれればいいなという思いですね」

35年以上にわたって地道な活動を続ける渡部さん。

渡部佐一さん「みんなが安心して暮らせるように手話でお互い会話ができる社会にしていければという思いです」

今後も手話でコミュニケーションの輪を広げていきます。

最終更新日:2025年2月13日 21:00