能登半島地震 珠洲市では4430戸が断水 山形市の職員らが復旧作業 北陸新幹線延伸に期待も
元日に発生した能登半島地震から2か月余りが経過しました。YBCは、日本テレビ系列のNNN取材団の一員として3月10日から特に大きな被害を受けた石川県に取材クルーを派遣しました。取材した被災地のいまをお伝えします。丹野貴雄記者の報告です。
石川県内の被害が大きかった地域では、地震から2か月余りが経過したいま、ようやく、道路や水道といったインフラが少しずつ復旧しつつある状況です。
3月11日、私たちは県庁所在地の金沢市から北におよそ100キロ余り離れた輪島市に向かました。
輪島市は地震による被害が特に大きかった地域で、地震前は金沢から車でおよそ2時間で到着しましたが、道路の復旧が進まず当時は3時間半ほどかかる状況でした。
輪島市では、地震で最大およそ930人の住民がほかの自治体への集団避難を余儀なくされました。このうち、市内の鵜入町地区は集落につながる道路が寸断するなどしました。通常の生活が困難になったため、住民16人が1月中旬から100キロ以上離れた県内の能美市で避難生活を送っていました。
丹野記者リポ「う回路できて、町への行き来が可能になりました」
「住民らを乗せたバスが、たった今鵜入町に到着しました。およそ2か月ぶりの帰郷です」
2月中旬、地区につながる道路と電気が復旧し、避難していた住民の一部が地元へ戻りました。
帰ってきた住民「ただいまー」「やっぱり自分の家がいい」「(電気つくと安心する?)安心します。テレビ見られるし、相撲見られるし」
帰ってきた住民「ホッとするところと、地震がまだちょこちょこ起きるからまだ怖い」
こうした道路や電気の復旧がようやく進み始めた一方、石川県内ではいまなお断水が続く地域も数多くあります。
能登半島の最北端に位置する珠洲市。3月19日時点でも市のほぼ全域にあたるおよそ4430戸で断水が続いています。断水の戸数は現時点で石川県内で最も多くなっています。珠洲市では、山形市から派遣された上下水道部の職員ら11人が水道管の復旧作業にあたっていました。
山形市上下水道部・加藤聡さん「きょうは珠洲市役所の南東部の漏水調査。漏水を発見した所の調査を行っている」「ほぼ毎日のようにどこかしらで漏水が発生している」
この日は地震の影響で外れて水が漏れている水道管を発見しました。
山形市上下水道部・加藤聡さん「復興が進んでいるかと言われると、まだまだ全然 進んでいない。なるべく早く復旧していただきたいし、自分たちも力のある限り応援していきたい」
山形市の応援チーム4月上旬まで交代で水道の復旧作業にあたる予定です。
珠洲市ではほとんどの住民が給水車などに頼る生活を送っています。広い範囲で断水となった要因としては、珠洲市に浄水施設が1か所しかなかったことが挙げられます。唯一の浄水施設が被害を受けた上、水道管はすべてその浄水施設とつながっているものだったため、被害があった場合の補完機能がありませんでした。
一方、山形県内では、山形市の場合は、水道の浄水施設が市内に3か所あるため、1つの施設が被害にあっても互いにバックアップできる体制が整っているということです。
こうした中、被災地の復興に向けた動きも出てきています。
16日、これまで金沢が終着駅だった北陸新幹線が福井県敦賀市のJR敦賀駅まで延伸しました。石川県内にも停車駅が増え、関東や関西から訪れる観光客の姿も多く見られました。
東京から「おなかペコペコにして、海鮮目当てできました」「金沢着いたとき、びっくりしました、人が多くて。盛り上がっていると思う」
石川県内有数の温泉地「加賀温泉郷」には、新たに北陸新幹線の停車駅が誕生しました。今回の延伸に合わせ、石川県内では観光で北陸の復興を後押ししようと、1泊当たりの旅行代金が最大で1人2万円割引される「北陸応援割」が始まりました。温泉街の旅館にはさっそく応援割の利用客が訪れていました。
大阪から「高級な旅館でゆっくり過ごしたくて、娘が温泉割発売の時に予約してくれた。お値段的にもいいかなぁと」
みやびの宿加賀百万石・吉田久彦社長「能登の復旧の目途が立っていなくて、これからというところで、加賀、金沢の地域がしっかりと石川の観光を支えていかなければいけない」
一方、こちらの旅館では、地震の影響で避難した被災者を受け入れています。13日時点で珠洲市や輪島市などから避難したおよそ230人が生活しています。
この日は旅館に避難している両親に会うため、応援割を使って東京から訪れた家族の姿もありました。
東京から両親に会いに来た家族「ずっとお世話になっているので、どうせならホテルを見に行きたいと思い、両親に会いに来た」
「日々不安を感じて過ごしていると思うので、孫と過ごしてその不安を少しでもなくした日々を過ごせたい」
輪島市から避難した母親「夜一緒にご飯を食べるのがとっても楽しみ」
みやびの宿加賀百万石・吉田久彦社長「被災者の方に遠慮してキャンセルされる人もいた。今回追い風が吹いて、観光客がこちらにお越しいただけるのは非常にうれしい。地域の観光を支えて、石川の魅力を伝えていきたい」
石川県内の観光地ではいま、観光での復興に向け少しずつ歩み始めています。
能登半島地震で打撃を受けた石川県の観光を支援する「北陸応援割」は全国の人が利用できます。内容は1泊当たり1人2万円を上限として旅行代金の50%が割引されるものです。新潟・富山・福井の3県で先行してスタートし、石川県では16日から始まりました。期間は4月26日宿泊分までが対象です。石川県内で対象となるのは374の宿泊施設です。
一方、珠洲市や輪島市、能登町など地震の被害が大きかった県北部の宿泊施設は営業再開ができておらず、今回の応援割の対象には入っていません。現地での取材の中で石川県内の観光関係者からは「地震のイメージで観光を躊躇する人もいると思うが、金沢市や加賀温泉など温泉や伝統文化が魅力の県南部の観光地をぜひ訪れてほしい」との声が聞かれました。
今回の取材では、観光をすることも私たちにできる被災地支援だと強く感じました。
石川県内の被害が大きかった地域では、地震から2か月余りが経過したいま、ようやく、道路や水道といったインフラが少しずつ復旧しつつある状況です。
3月11日、私たちは県庁所在地の金沢市から北におよそ100キロ余り離れた輪島市に向かました。
輪島市は地震による被害が特に大きかった地域で、地震前は金沢から車でおよそ2時間で到着しましたが、道路の復旧が進まず当時は3時間半ほどかかる状況でした。
輪島市では、地震で最大およそ930人の住民がほかの自治体への集団避難を余儀なくされました。このうち、市内の鵜入町地区は集落につながる道路が寸断するなどしました。通常の生活が困難になったため、住民16人が1月中旬から100キロ以上離れた県内の能美市で避難生活を送っていました。
丹野記者リポ「う回路できて、町への行き来が可能になりました」
「住民らを乗せたバスが、たった今鵜入町に到着しました。およそ2か月ぶりの帰郷です」
2月中旬、地区につながる道路と電気が復旧し、避難していた住民の一部が地元へ戻りました。
帰ってきた住民「ただいまー」「やっぱり自分の家がいい」「(電気つくと安心する?)安心します。テレビ見られるし、相撲見られるし」
帰ってきた住民「ホッとするところと、地震がまだちょこちょこ起きるからまだ怖い」
こうした道路や電気の復旧がようやく進み始めた一方、石川県内ではいまなお断水が続く地域も数多くあります。
能登半島の最北端に位置する珠洲市。3月19日時点でも市のほぼ全域にあたるおよそ4430戸で断水が続いています。断水の戸数は現時点で石川県内で最も多くなっています。珠洲市では、山形市から派遣された上下水道部の職員ら11人が水道管の復旧作業にあたっていました。
山形市上下水道部・加藤聡さん「きょうは珠洲市役所の南東部の漏水調査。漏水を発見した所の調査を行っている」「ほぼ毎日のようにどこかしらで漏水が発生している」
この日は地震の影響で外れて水が漏れている水道管を発見しました。
山形市上下水道部・加藤聡さん「復興が進んでいるかと言われると、まだまだ全然 進んでいない。なるべく早く復旧していただきたいし、自分たちも力のある限り応援していきたい」
山形市の応援チーム4月上旬まで交代で水道の復旧作業にあたる予定です。
珠洲市ではほとんどの住民が給水車などに頼る生活を送っています。広い範囲で断水となった要因としては、珠洲市に浄水施設が1か所しかなかったことが挙げられます。唯一の浄水施設が被害を受けた上、水道管はすべてその浄水施設とつながっているものだったため、被害があった場合の補完機能がありませんでした。
一方、山形県内では、山形市の場合は、水道の浄水施設が市内に3か所あるため、1つの施設が被害にあっても互いにバックアップできる体制が整っているということです。
こうした中、被災地の復興に向けた動きも出てきています。
16日、これまで金沢が終着駅だった北陸新幹線が福井県敦賀市のJR敦賀駅まで延伸しました。石川県内にも停車駅が増え、関東や関西から訪れる観光客の姿も多く見られました。
東京から「おなかペコペコにして、海鮮目当てできました」「金沢着いたとき、びっくりしました、人が多くて。盛り上がっていると思う」
石川県内有数の温泉地「加賀温泉郷」には、新たに北陸新幹線の停車駅が誕生しました。今回の延伸に合わせ、石川県内では観光で北陸の復興を後押ししようと、1泊当たりの旅行代金が最大で1人2万円割引される「北陸応援割」が始まりました。温泉街の旅館にはさっそく応援割の利用客が訪れていました。
大阪から「高級な旅館でゆっくり過ごしたくて、娘が温泉割発売の時に予約してくれた。お値段的にもいいかなぁと」
みやびの宿加賀百万石・吉田久彦社長「能登の復旧の目途が立っていなくて、これからというところで、加賀、金沢の地域がしっかりと石川の観光を支えていかなければいけない」
一方、こちらの旅館では、地震の影響で避難した被災者を受け入れています。13日時点で珠洲市や輪島市などから避難したおよそ230人が生活しています。
この日は旅館に避難している両親に会うため、応援割を使って東京から訪れた家族の姿もありました。
東京から両親に会いに来た家族「ずっとお世話になっているので、どうせならホテルを見に行きたいと思い、両親に会いに来た」
「日々不安を感じて過ごしていると思うので、孫と過ごしてその不安を少しでもなくした日々を過ごせたい」
輪島市から避難した母親「夜一緒にご飯を食べるのがとっても楽しみ」
みやびの宿加賀百万石・吉田久彦社長「被災者の方に遠慮してキャンセルされる人もいた。今回追い風が吹いて、観光客がこちらにお越しいただけるのは非常にうれしい。地域の観光を支えて、石川の魅力を伝えていきたい」
石川県内の観光地ではいま、観光での復興に向け少しずつ歩み始めています。
能登半島地震で打撃を受けた石川県の観光を支援する「北陸応援割」は全国の人が利用できます。内容は1泊当たり1人2万円を上限として旅行代金の50%が割引されるものです。新潟・富山・福井の3県で先行してスタートし、石川県では16日から始まりました。期間は4月26日宿泊分までが対象です。石川県内で対象となるのは374の宿泊施設です。
一方、珠洲市や輪島市、能登町など地震の被害が大きかった県北部の宿泊施設は営業再開ができておらず、今回の応援割の対象には入っていません。現地での取材の中で石川県内の観光関係者からは「地震のイメージで観光を躊躇する人もいると思うが、金沢市や加賀温泉など温泉や伝統文化が魅力の県南部の観光地をぜひ訪れてほしい」との声が聞かれました。
今回の取材では、観光をすることも私たちにできる被災地支援だと強く感じました。