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雪不足にプロポーズ 「やまがた雪未来国スポ」を振り返る 選手たちが会場整備に感謝

2024年2月26日 17:26
雪不足にプロポーズ 「やまがた雪未来国スポ」を振り返る 選手たちが会場整備に感謝

異例の雪不足の状況の中、山形県内を会場に開催されたスキー競技の国民スポーツ大会「やまがた雪未来国スポ」は24日、閉幕しました。県勢が記録した2つの優勝や女子クロスカントリーのレジェンドの入賞、そして選手たちへのおもてなしなどさまざまなドラマがあった大会を振り返ります。

選手宣誓※真室川レーシングチーム青木富美子選手「能登半島地震で被災された人達をはじめ、日本中の皆さんに夢と希望を届けることができるよう全力で競技することを誓います」

女子クロスカントリー界のレジェンドと呼ばれる真室川町の青木富美子選手(57)が力強く宣誓し21日に開幕した「やまがた雪未来国スポ」。県内開催は10年ぶりで、全国から選手・監督などおよそ1700人が参加。県内3つの会場で24日まで熱戦が繰り広げられました。

大会の開催に当たって関係者が頭を悩ませたのが、暖冬による深刻な雪不足でした。

「ただいまコース整備のため競技を中断しております。」

最上町の赤倉温泉スキー場で行われたジャイアントスラローム競技は、コースの長さが当初の3分の1ほどに短縮される異例の事態に。
短距離決戦となる中、地力を発揮したのが、男子の26歳以上の部門に出場した山形市の佐藤慎太郎選手(27)です。
前評判通りの勝負強さを見せ、見事、優勝に輝きました。県勢が地元開催大会で個人競技優勝したのは10年ぶりです。

佐藤慎太郎選手「選手として一番いい時期に地元で国スポを迎えられるのは人生でないこと。ひとつひとつ準備を重ねて結果につながった。同級生やお世話になっているコーチ、小さい頃から競技をしていた仲間がコース整備をしてくれてこのコースで優勝することができてとてもうれしい」

レース後、さらに会場を沸かせるこんな出来事が…

「結婚してください。ありがとうございます」

応援に来ていた交際相手にサプライズでプロポーズ!地元開催での優勝だけでなく彼女の心も射止め佐藤選手にとって忘れられない日となりました。

佐藤慎太郎選手「付き合っている彼女がよく利用していたこのスキー場でプロポーズしようと決めていたので、優勝という形でそこに華を添えることができて、オッケーもしてもらえたので天にも昇るような気持ち。思い出に残る日になりました。ありがとうございました」

上山市で行われたクロスカントリー競技、24歳以上の「成年女子B」に出場したのは、これまでオリンピックに3度出場した真室川町の青木富美子選手です。見事7位に入賞しました。

青木選手「懐かしい人たちが応援に来てくれて滑っていてすごく声援が聞こえてうれしかった楽しいレースだった」

ゴール後には、青木選手を慕う後輩たちが次々と集まり、健闘をたたえ合っていました。国スポ出場は今回で33回目。後輩の活躍に刺激を受けながら、これからも競技人生を続けていきます。

青木選手「若手も育っているので私は一年一年やれる限りはやっていきたいと思うがこればっかりは分からないので、一年一年頑張っていきます」

大会期間中、それぞれの会場では、玉こんにゃくや地物の野菜を使った雑煮のふるまいが用意され、訪れた人たちの心と体を温めました。

岩手から「モチがモチモチしておいしい」
宮城から「急に寒くなったのですごいうれしい」
最上町高橋重美町長「大変雪が少なかったが、なんとしても成功させたいという思いが町民みんなに共有してもらった。すばらしい大会にできたことに感謝」

大会最終日。ジャイアントスラロームの高校生以下の部門で圧巻の滑りを見せたのが、日大山形高校2年の阿部和人選手。2位との選手をわずか0.01秒差でかわし、見事、優勝に輝きました。

日大山形高校2年阿部和人選手「悔いの残らないように地元の利を発揮しようと滑った。県内で周りに知り合いがたくさんいる中で優勝できてすごいうれしい」

雪不足で開催が不安視される中、実施にこぎつけた今大会。コースの整備などに当たった大会関係者に感謝の気持ちを伝えようとレースを終えた選手がコースに向かって礼をする光景がみられました。宮城県選手団で高校3年生の芹田虎太朗選手がSNSで全国の選手に呼びかけたことがきっかけでした。スキー競技でレース後に選手が一礼をするのは、珍しい行為だということです。

東北学院高校3年芹田虎太朗選手「SNSで大人が『大会をやめた方がいいじゃないか』と書かれていたが、僕たちは滑れる環境があるなら滑ろうという話があったのでその思いを込めてお辞儀した。こんなに整備してくれたんだと思いながら最後こういう形で締めれたのが僕にとって思い出の1ページになった」
選手有志ノイズ「お世話になりました。ありがとうございました。」

4日間熱戦が繰り広げられた「やまがた雪未来国スポ」。県勢は、2つの優勝を含む18の入賞を記録しました。また、男女総合成績は、去年の岩手大会から1つ上げ、4位でした。