「温泉街」復活目指す取り組み 太宰ゆかりの湯村温泉郷 山梨県
甲府市の湯村温泉郷の再開発です。老朽施設の解体作業が始まるなど計画が本格化する中、歴史ある観光地の復活を目指す取り組みを取材しました。
武田信玄公ゆかりの地として知られる湯村温泉郷。文豪の太宰治が執筆した宿「旅館明治」も軒を連ね、 昭和30年代には40軒もの旅館でにぎわいをみせましたが、現在は8軒に。魅力の低下を指摘する声も上がります。
甲府観光開発 笹本健次代表
「例えばカラオケの部屋をつくったり、お土産物も全部旅館の中でと、高度経済成長の時代はそういう旅館が増えた。そうすると、今まで繁盛していた土産物屋やスナックとかが全部潰れた。温泉街に魅力がなくなり、旅館そのものの魅力がなくなるという悪い循環になった」
笹本氏が代表を務める甲府観光開発は、湯村温泉旅館協同組合などが2021年に立ち上げた会社。湯村温泉の復活を目指し、本格的な再開発に乗り出しています。
甲府観光開発では、旅館明治を木造2階建ての旅館に再建し、太宰が執筆した部屋を再現するほか、公衆浴場も復活させる計画です。
メイン通りにはワインや印伝、宝飾品などを展示・販売する2つの施設を新築して、湯村温泉郷から山梨の地場産業を発信します。笹本代表は新たな湯村温泉郷のブランド力や集客力を甲府市や県内の観光振興につなげたい考えです。
甲府市が3年前に実施し、1都7県の1000人が回答したインターネット調査では、甲府市を訪れる観光客の約7割が日帰りでした。
甲府観光開発 笹本健次代表
「見るもの、楽しめるアイテムをたくさん持つことが大事。それが宿泊につながっていく。地域の良さを表現することを湯村温泉でやろうと思っている」
新たな旅館明治は2024年秋以降に、地場産品を扱う2つの施設は2025年度の開業を目指しています。