“平和守って” 伝えたい 県内初「憲法9条の碑」 北杜の元教員が設置 山梨県
戦争の放棄を定めた憲法9条の条文を刻んだ「9条碑」が県内で初めて北杜市に建立されました。
元高校教諭の女性が戦争で負った傷が原因で亡くなった父親をしのんで設置したもので、戦争のない世界への願いが込められています。
9条碑が建立されたのは北杜市須玉町の中田宏美さん(78)宅の庭先です。
9条碑は全国各地にありますが県内への設置は初めて。
碑には平和の象徴のハトと憲法9条の条文が刻まれ、裏には中田さんの父と母の名が刻まれています。
中田さんの父、保さんは1941年にボルネオで敵機から爆撃を受けて片足を失いました。
傷痍軍人として帰国後、母・恒子さんと結婚。
中田さんら3姉妹を授かりました。
中田宏美さん
「(父・保さんは)義足を付けて役場に務めていたが、だんだんと肉が無くなって骨が見えるように。出血もするようになったので自分で病院を探して『すぐ簡単に帰れる』と言って病院にひとりで行っちゃった」
終戦の8年後、父・保さんは足の傷が悪化して34歳で亡くなりました。
母・恒子さんと3人の姉妹の生活は苦しかったといいます。
中田宏美さん
「薪用の小さな枝が山にある。束にして出荷することも。母と一緒に行って手伝ったこともある」
中田さんは戦闘が続くウクライナやガザ地区のニュースを見聞きするたび、危機感にさいなまれます。
中田宏美さん
「『平和守って』人生の最後に。この世に伝えなければいけないという気持ち」
5月6日に行われた除幕式では、多くの関係者が9条碑の完成を祝いました。
中田さんは「多くの人に見てほしい」と話しています。