【特集】40余年の歴史に区切り…少年野球の名門チームが休部 “最後のノック”に送る感謝
少子化に伴い年々減少が進んでいるスポーツ少年団、いわゆる「スポ少」。部員不足により40年以上の歴史にいったん幕を下ろした笛吹市の少年野球チームを取材しました。
グラウンドに響く、子どもたちの元気な声。春日居スポーツ少年団野球部は、創設40年以上の歴史を持つ笛吹市内屈指の名門チームです。
1月22日、この日は6年生の卒団の日。そして、チームの活動にいったん区切りをつける日でもありました。
ピーク時の約30年前には30人以上いた部員の数は年々減少し、3年ほど前からは地元・春日居小の児童だけではチーム編成ができなくなりました。
そのため、近くの小学校から部員を確保してなんとか活動を続けてきましたが、部員15人のうち12人を占める6年生の卒団をもって休部という決断を余儀なくされました。
30年以上にわたり、チームを率いてきた田中貴文監督は…
春日居スポーツ少年団野球部 田中貴文 監督
「急に休部という形になってしまったのも、それがなぜかという原因が分かればいいんだけれど、これといった答えがないから本当に大変ですね」
こうした状況はこのチームに限ったことではありません。笛吹市内には多い時で8つの少年野球チームがありましたが、今回の休部を受けて3チームにまで減ることになります。
保護者は
「野球をやる小学生の子も公式戦の出場チームとか見ても、年々減っていってるような感じ。特にこちらの東山梨の地域もだんだん(チームが)合併したりしいて、今後心配というか寂しい思いはあります」
卒団の日、グラウンドでは6年生を送り出す恒例の親子試合が行われました。
親と子の真剣勝負ー。成長した姿を見せようと、子どもたちははつらつとしたプレーを見せます。そんな子どもたちの姿を田中監督は感慨深そうに見守っていました。
春日居スポーツ少年団野球部 田中貴文 監督
「まさかね、3年くらい前だととてもこんなにストライクも投げられなかった子どもたちが、勝負できるようになるのは本当にすごいなと思います。子どもたちも一生懸命やってきたことだと思います」
試合後の卒団式で、田中監督は6年生にエールを送りました。
春日居スポーツ少年団野球部 田中貴文 監督
「今からが君たちのスタート。つらかったこともいろいろあると思うけど、これからの方が大変だよ」
春日居スポーツ少年団野球部 田中貴文 監督
「少年野球で経験したことが、今から必ずプラスになると思う」
チームの活動を締めくくるのは、監督から部員全員へのノックです。
ノックを受ける部員からは、監督へ感謝の言葉が送られました。
部員
「春日居で野球をやった時が一番楽しかったです。ありがとうございました」
田中監督は少年野球の魅力を、こう教えてくれました。
春日居スポーツ少年団野球部 田中貴文 監督
「親と子どもが接しながら野球を楽しめる、そういう場じゃないかな。中学校や高校に行けばこういう機会はなかなかないから、それが一番の少年野球のいいところじゃないかな」
40年以上の歴史にいったん幕を下ろした春日居スポーツ少年団野球部。ただ、選んだのは「廃部」ではなく「休部」です。将来的な活動再開に向け、思いはひとつです。
保護者は
「近いうちにいつかは…この『春日居』という形でなくてもいいので、復活を心から願っています」
春日居スポーツ少年団野球部 田中貴文 監督
「1人でも野球に関心があれば、いつでもわれわれは指導したいと思っていますから。
春日居スポーツ少年団野球部 田中貴文 監督
「これからもなんとか、子どもたちに野球の楽しさを教えてあげられればなと思っています」